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第九話 孤独な探索者


魔法陣の光が消えた後、

祭壇の間には

静寂だけが残った。


風の音すら、

聞こえない。


佐山孝也は、

しばらくその場に

立ち尽くしていた。


(……帰れたか?)


祈るような気持ちで、

天井を見上げる。


答えは、

返ってこない。


だが、

魔法陣の反応が

弱まっている以上、

成功した可能性は高い。


(なら、

あとは俺の仕事だ)


佐山は、

ゆっくりと息を吐く。


一人になった瞬間、

肩に乗っていた

重圧が増した。


だが、

不思議と

恐怖はない。


慣れている。


異世界でも、

単独での行動は

珍しくなかった。


佐山は、

祭壇の裏側へ回る。


崩れた床の奥に、

細い通路が続いている。


「……やっぱりな」


中枢は、

完全には破壊されていない。


管理者代行体は、

あくまで端末。


本体は、

さらに奥にある。


通路は、

一人がやっと通れる幅。


壁には、

赤黒い結晶が

埋め込まれている。


脈打つように、

淡く光る。


(生きてるみたいだな……)


嫌な感覚。


佐山は、

短剣を握り直す。


数分進むと、

空間が開けた。


小規模な円形ホール。


中央には、

黒い柱が立っている。


柱の中には、

人影のようなもの。


いや――


人間だ。


鎖で拘束された、

若い女性。


「……生きてる?」


佐山は、

慎重に近づく。


女性は、

ゆっくりと顔を上げた。


虚ろな瞳。


だが、

かすかに

意識がある。


「だれ……?」


掠れた声。


「探索者だ」


佐山は、

嘘はつかない。


すべては

言わないが。


「ここから

出られるか?」


女性は、

首を横に振る。


「無理……

この柱が……

私を……」


佐山は、

柱に手を触れる。


強烈な魔力。


人を

エネルギー源として

利用している。


(最低だな……)


異世界でも、

似たものを見た。


古代魔族の

研究施設。


佐山は、

短剣に

魔力を流す。


最小限。


柱の根元を、

一気に斬る。


バキン!


ひびが入る。


女性が、

苦しそうに声を上げる。


「大丈夫だ」


「すぐ終わる」


もう一度、

全力で斬る。


柱が、

崩れ落ちた。


女性は、

床に倒れ込む。


佐山は、

すぐに支える。


「歩けるか?」


小さく頷く。


その瞬間。


空間全体が、

大きく揺れた。


(来るか……)


本体が、

反応した。


佐山は、

女性を背負う。


「しっかり掴まれ」


出口へ向かって、

走り出した。


ダンジョンは、

明らかに

崩壊を始めていた。


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