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第八話 帰還の手掛かり


砕け散った管理者代行体の残骸は、

床の上で

淡い光の粒子となり、

ゆっくりと消えていった。


だが、

祭壇の中央に浮かぶ

魔法陣だけは、

なおも輝き続けている。


「……嫌な予感しかしない」


フィオが、

頬を引きつらせる。


アドルは、

魔法陣の縁にしゃがみ込み、

慎重に観察する。


「これは、

転移系統の術式だ」


「しかも、

かなり高位」


ティファニーが、

一歩近づく。


「行き先は……?」


アドルは、

首を振った。


「固定されていない」


「条件次第で、

どこへでも

繋がるタイプだ」


ライクが、

腕を組む。


「つまり、

賭けになる」


バルガスは、

魔法陣を見下ろす。


「だが、

ここに留まるのも

危険だ」


佐山は、

魔法陣から

微かな違和感を感じていた。


(この構造……

見覚えがある)


異世界で、

似た術式を

見たことがある。


緊急脱出用の、

多層転移陣。


使用者の

強い願いに

反応するタイプ。


(帰りたいと

強く思えば……)


(行き先は、

元の世界になる)


だが、

その理屈を

説明するわけにはいかない。


正体が、

露見する。


佐山は、

小さく石を蹴った。


コロリと転がる。


石は、

魔法陣の外周で

止まった。


その瞬間。


魔法陣の光が、

わずかに変化した。


「……今の、

見た?」


ティファニーが呟く。


アドルの目が、

見開かれる。


「反応した……?」


バルガスは、

ゆっくりと頷く。


「この魔法陣は、

まだ生きている」


フィオが、

不安そうに笑う。


「ねぇ、

誰か触ってみる?」


沈黙。


ライクが、

一歩前に出た。


「俺が行く」


「竜族は、

空間耐性が高い」


バルガスは、

肩を掴む。


「待て」


「単独行動は

許可しない」


ティファニーが、

胸に手を当てる。


「みんなで、

一緒に行きましょう」


「離れたら、

もう二度と

会えないかもしれない」


その言葉に、

全員が頷いた。


佐山の胸が、

締め付けられる。


(……本当は、

一緒に行くべき

なんだろうな)


だが、

それはできない。


現代に残り、

裏から支える。


それが、

自分の選んだ道だ。


魔法陣が、

ゆっくりと回転を始める。


光が、

床から天井まで

伸び上がる。


「準備はいいか?」


バルガスが言う。


「おう!」

「ええ」

「もちろん!」


五人は、

円の中心へ向かう。


佐山は、

一歩だけ

後ずさる。


だが――


ティファニーが、

ふと振り返った。


視線が、

佐山の立つ方向へ向く。


「……ありがとう」


誰もいない

はずの場所へ。


佐山は、

小さく目を伏せた。


魔法陣が、

眩く輝く。


次の瞬間。


五人の姿が、

光に包まれ、

消えた。


静寂。


佐山は、

その場に

一人残された。


だが、

空間の歪みは、

完全には消えていない。


(まだ……

続いている)


彼は、

拳を握る。


(最後まで、

見届ける)


重なった世界の

核心は、

まだ奥にある。


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