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第四話 異変の正体


通路の奥から響く、

重く湿った足音。


ドスン……

ドスン……


床そのものが、

わずかに震えている。


「来るぞ」


ライクが低く告げる。


バルガスは大剣を構え、

前に出た。


「陣形を組め」


即座に、

五人は戦闘配置へ移行する。


前衛、

バルガスとライク。


後衛、

ティファニーとアドル。


フィオは、

壁際を滑るように移動。


佐山は、

さらに後方へ下がり、

影に身を溶かした。


(足音の重さ……

大型だな)


(しかも、

魔力反応が異常に濃い)


やがて、

通路の曲がり角から

姿を現した。


身長三メートル近い、

巨人型魔物。


全身は、

黒い金属質の装甲で

覆われている。


顔の位置には、

赤く光る

単眼が一つ。


「……ゴーレム系?」


フィオが息を飲む。


アドルが即座に否定する。


「いや、

魔導兵器に近い」


「人工物だ」


ティファニーが、

小さく呟く。


「この魔力……

装置そのものが

動力源になっている」


バルガスは、

一歩踏み出した。


「つまり、

壊せば止まる」


「行くぞ!」


大剣が、

真っ直ぐ振り下ろされる。


ギィン!!


金属音が

通路に反響した。


刃が弾かれる。


「硬い!」


ライクが横から斬り込む。


竜族の膂力で、

関節部を狙う。


ガギィッ!


火花が散る。


「表面装甲が

異常に分厚い!」


アドルが叫ぶ。


「内部動力を

狙え!」


ティファニーが、

詠唱を開始する。


「聖なる光よ、

道を穿て!」


光の槍が放たれる。


直撃。


だが、

装甲が焦げるだけで、

貫通しない。


「くそっ……」


フィオが背後へ回り、

短剣を突き立てる。


ガン!


刃が通らない。


巨人が、

ゆっくりと腕を振り上げる。


「危ない!」


ライクが叫ぶ。


ドゴォン!


床が砕け、

衝撃波が走る。


フィオが吹き飛ばされた。


「フィオ!」


バルガスが吼える。


佐山の目が、

一瞬だけ鋭くなる。


(……まずいな)


このままでは、

消耗戦になる。


いや、

消耗する前に、

誰かが死ぬ。


(内部動力……

胸部中央か)


彼には、

見えていた。


魔力の流れ。


胸の奥に、

コアがある。


(仕方ない……

一瞬だけだ)


佐山は、

石を一つ拾い上げる。


指で弾く。


カンッ!


音が、

巨人の背後へ飛ぶ。


単眼が、

そちらを向いた。


「今だ!」


バルガスが叫ぶ。


ライクが、

全力で跳躍。


空中で、

大剣を逆手に構える。


「うおおおおっ!」


関節部を破壊し、

巨人の体勢が崩れる。


その瞬間。


ティファニーの魔法が、

胸部へ集中する。


「貫け!」


光の槍が、

一点へ収束。


ズドン!!


装甲が割れ、

赤い結晶体が露出する。


アドルが、

即座に魔法を叩き込む。


「魔力崩壊!」


結晶体が砕け散った。


巨人は、

ガラガラと音を立て、

崩れ落ちる。


沈黙。


「……倒した?」


フィオが、

床から起き上がる。


ライクが頷く。


「動力が完全に停止した」


ティファニーは、

胸に手を当て、

小さく息を吐いた。


「誰か……

今、

援護してくれた?」


沈黙。


バルガスが、

周囲を見回す。


「……気のせいだろう」


だが、

ティファニーは、

確信していた。


確かに、

見えない誰かが、

道を作った。


佐山は、

壁際で目を伏せる。


(……気づくな)


自分の存在が、

表に出れば、

すべてが狂う。


だが同時に、

一つの事実が

明らかになった。


このダンジョンには、

意志を持って

動く装置がある。


つまり――


誰かが、

この場所を

作った。


「……奥に行けば、

答えがあるな」


バルガスが言う。


佐山は、

小さく頷いた。


(異変の正体……

近いな)


重なった世界の奥で、

巨大な歯車が

回り始めていた。


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