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第十九話 少女の中の声


探索ギルド医療棟。


夜。


廊下は、

静まり返っている。


佐山は、

ミナの病室の前で

立ち止まった。


軽くノック。


返事は、

ない。


嫌な予感。


ドアを

そっと開ける。


薄暗い部屋。


ベッドの上で、

ミナが

身を起こしていた。


両手で、

頭を抱えている。


「ミナ?」


佐山が

呼ぶ。


ゆっくりと、

顔が上がる。


汗で、

髪が

張り付いている。


「……声が」


「また、

聞こえる」


佐山は、

ベッドの

そばへ。


「どんな声だ?」


ミナは、

震える唇で

答える。


「深いところへ

来いって……」


「扉を

開けろって……」


佐山の

表情が

硬くなる。


(やっぱり、

完全には

切れていない)


佐山は、

ミナの

手を取る。


「大丈夫だ」


「誰にも

行かせない」


ミナは、

縋るように

佐山を見る。


「私……

変なの?」


佐山は、

即座に

首を振る。


「違う」


「お前は、

被害者だ」


沈黙。


ミナは、

小さく

呟いた。


「……佐山さんが

いなくなると、

怖い」


胸が、

わずかに

締め付けられる。


(距離を

取るべきだ)


そう

思うのに、

口は

勝手に動いた。


「ここにいる」


「すぐ近くに

いる」


ミナは、

小さく

頷く。


その瞬間。


部屋の

照明が

チカッと

点滅した。


佐山は、

即座に

立ち上がる。


(来るか?)


だが、

何も

起きない。


ただ、

ミナの胸元が、

淡く

赤く光った。


佐山は、

目を細める。


(刻印……?)


服の上から、

わずかに

浮かび上がる

模様。


見覚えがある。


異世界の

召喚触媒。


佐山は、

歯を

噛み締めた。


(完全に

消してなかったのか)


ミナは、

不安そうに

佐山を見る。


「……私、

どうなるの?」


佐山は、

ゆっくり

息を吸う。


「俺が、

どうにかする」


ミナは、

泣きそうな顔で

頷いた。


佐山は、

心の中で

決める。


(次の標的は、

刻印の本体だ)


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