第十八話 仮中枢破壊
管理補助官が
消えた後も、
広間には
嫌な振動が
残っていた。
赤黒い結晶柱が、
以前よりも
強く脈打つ。
まるで、
怒っているようだ。
佐山は、
短剣を
握り直す。
(時間は、
ない)
結晶柱の周囲に、
魔法陣が
浮かび上がる。
防御結界。
第七ダンジョンの
中枢よりも、
複雑だ。
(向こう側が、
学習してるな)
佐山は、
床を蹴る。
結界へ
斬撃。
弾かれる。
次に、
魔砕拳。
拳が、
結界に
叩き込まれる。
――バキッ。
ヒビ。
佐山は、
間髪入れず
二発目。
三発目。
結界が、
砕け散った。
同時に。
結晶柱から、
黒い腕が
伸びる。
絡みつく。
佐山は、
歯を食いしばる。
(邪魔だ)
短剣で
斬り落とす。
さらに、
腕が生える。
数が多い。
佐山は、
結晶柱の
根元へ跳ぶ。
拳に、
最大限の
魔力を圧縮。
(これで
終わらせる)
――魔砕拳・
重圧。
拳を
叩き込む。
――ドンッ!!
衝撃波が、
広間を
薙ぎ払う。
結晶柱に、
大きな
亀裂。
次の瞬間。
柱が、
内側から
崩れた。
赤黒い光が、
爆発的に
噴き出す。
佐山は、
即座に
後退。
爆風に
煽られ、
壁へ。
だが、
意識は
保っている。
光が、
収まる。
そこには、
粉々になった
結晶の残骸。
魔法陣は、
すべて
消えていた。
空気が、
一気に
軽くなる。
(成功だ)
だが――
床の裂け目が、
まだ
残っている。
完全には
閉じていない。
佐山は、
手を伸ばす。
純化魔力を、
裂け目へ
流し込む。
境界が、
ゆっくりと
縫い合わされる。
数秒後。
裂け目は、
消えた。
佐山は、
大きく
息を吐く。
「……終わったな」
帰還用の
裂け目を探す。
壁際に、
小さな歪み。
入る。
視界が
反転する。
次の瞬間。
現代側の
第三十八階。
裂け目は、
完全に
消失していた。
通信端末が、
鳴る。
『どうなった?』
林野の声。
佐山は、
短く答える。
「仮中枢、
破壊しました」
『……よくやった』
佐山は、
壁にもたれた。
(まだ、
終わりじゃない)
だが、
一つずつ
潰していくしかない。




