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第十二話 探索ギルドの密室


探索ギルド本部。


白い壁と、

ガラス張りの受付カウンター。


三年前に建てられたばかりの、

まだ新しい建物だ。


応接用の小会議室に、

佐山は通されていた。


向かいの席には、

探索ギルド長――

林野和也。


鋭い眼光。


だが、

威圧するような

雰囲気はない。


隣には、

案内嬢の長田あかね。


柔らかな表情だが、

目はよく動いている。


テーブルの上には、

録音端末。


林野が、

口を開いた。


「佐山探索者」


「先ほどの

深層ダンジョンでの

事象について」


「できるだけ

正確に話してほしい」


佐山は、

軽く頷く。


「深層で、

未登録の空間を発見しました」


「奥に進んだところ、

管理系統らしき存在と

遭遇」


「戦闘の末、

破壊」


「その過程で、

拘束されていた女性を

発見しました」


林野は、

眉をわずかに動かす。


「一人で?」


「はい」


あかねが、

メモを取る。


「他に、

異変は?」


佐山は、

少し考える。


「空間が、

不安定でした」


「通常のダンジョンとは

違う挙動です」


「崩壊が始まったので、

女性を連れて

脱出しました」


嘘は、

混ぜていない。


言っていないことが

あるだけだ。


林野は、

腕を組む。


「深層ソロ突入」


「未確認存在を撃破」


「人質救出」


「……普通なら、

あり得ない」


佐山は、

肩をすくめる。


「運が良かっただけです」


あかねが、

くすっと笑う。


「佐山さん、

謙虚すぎます」


林野は、

しばらく佐山を見つめた。


探るような視線。


やがて、

小さく息を吐く。


「今回の件は、

Sランク相当の

功績だ」


「正式な記録は、

Aランク扱いに

留める」


佐山は、

内心で安堵する。


目立つのは、

避けたい。


林野が続ける。


「女性についてだが、

身元不明」


「魔力汚染が、

かなり進行している」


「医療班が

治療中だ」


あかねが、

優しく言う。


「命に別状は

ありません」


佐山は、

小さく頷く。


「良かった」


林野は、

椅子にもたれる。


「佐山探索者」


「君は、

何者だ?」


空気が、

一瞬で張り詰めた。


佐山は、

視線を逸らさず、

答える。


「ただの、

探索者です」


沈黙。


林野は、

ふっと笑った。


「そういうことに

しておこう」


あかねが、

微笑む。


「これからも

よろしくお願いしますね」


佐山は、

軽く頭を下げた。


(……鋭いな)


だが、

踏み込んではこない。


互いに、

線を引いた。


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