第十一話 崩壊と脱出
結晶核に走った亀裂から、
赤黒い光が漏れ出す。
怪物は、
苦しげに身をよじった。
『排除……
排除……』
声が、
歪んでいる。
(効いてる)
佐山は、
拳を引き、
再び構える。
二発目。
魔砕拳。
――ドンッ!!
亀裂が、
一気に広がった。
結晶核が、
粉々に砕け散る。
同時に。
怪物の身体が、
内側から
膨れ上がった。
佐山は、
即座に後退。
直後。
――ドガァン!!
爆発。
肉片と魔力が、
四散する。
衝撃波が、
佐山を吹き飛ばす。
壁に、
背中を強く打ちつける。
「ぐっ……」
息が、
詰まる。
だが、
意識はある。
佐山は、
すぐ立ち上がる。
空間全体が、
激しく揺れている。
天井から、
岩が落ちる。
床の魔法陣が、
次々と消えていく。
(ダンジョンが、
死んだな)
急がなければ。
佐山は、
出口へ走る。
扉の外。
女性は、
その場に座り込み、
待っていた。
「よし」
佐山は、
女性を抱え上げる。
背負う形で、
再び走る。
通路は、
既に崩れ始めている。
一本道だったはずの道が、
瓦礫で塞がれている。
「くそ……」
佐山は、
壁を蹴り、
上へ跳ぶ。
瓦礫を踏み台にし、
強引に突破。
女性が、
しがみつく。
「落ちるな!」
さらに進む。
空気が、
変わった。
微かに、
外気の匂い。
(出口だ)
前方に、
光が見える。
佐山は、
最後の力を振り絞り、
走る。
直後。
背後で、
大きな音。
通路が、
完全に崩れた。
ギリギリで、
光の中へ飛び込む。
次の瞬間。
地面を転がる。
冷たい風。
薄曇りの空。
現代の、
ダンジョン入口付近。
「……戻ったな」
佐山は、
仰向けになり、
大きく息を吐いた。
女性は、
隣で
小さく震えている。
「もう大丈夫だ」
そう言って、
ジャケットを掛けてやる。
遠くから、
声が聞こえた。
「おーい!」
探索者たちだ。
佐山は、
ゆっくりと立ち上がる。
(さて……
ここからが本番だ)




