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第7話:王女の怒り、救出
「聖女になんという無礼か!」
王宮の侍女たちから事情を聞いた王女は、憤激した。
「事実か確かめる…地下牢へ向かうぞ。」
王族の訪れに、地下牢の看守たちは大慌てで止めようとする。
「お、お引き取りくださいませ!ここはあまりに汚れた場所でございます!」
しかし、王女の衛兵が迷いなく看守たちを押しのけた。
牢のひとつひとつをくまなく見て回る王女――
「ここには多くの罪人がいるな…。」
汚れた手を出し、「助けてくれ」と懇願する囚人たち。
衛兵が警戒しながら彼らを押し留める。
そして、一番奥――極悪人が閉じ込められるような劣悪な牢屋に、姫歌はいた。
「……なんということ。」
王女はすぐに牢を開けさせた。
そして、倒れ伏していた姫歌を自ら抱き起こした。
「私の家臣どもがそなたに犯した無礼を…どうか許して。」
その声は、どこまでも静かで、どこまでも深い誠意に満ちていた――