第6話:運命の決断、そして逃亡の果てに
王家の招待状を手にした男は、厳格な武人だった。
「聖女ヒメカよ。この招待を拒むのならば…処刑も辞さぬ。」
その冷酷な言葉に、姫歌は戦慄した。
「なっ……!?何言ってるのよ、そんなの冗談でしょ!?」
しかし武人の眼差しは一切揺るがない。
姫歌は招待状を床に叩きつけた。
「断るわ。私はもう歌わないって決めたの!」
次の瞬間、武人が強引に姫歌の腕を掴もうとする。
「ならば力尽くで連行する。王の命令は絶対――」
その瞬間、姫歌は本能的に逃げ出した。
町中を疾走する姫歌。その背後には武人の足音が迫っていた!
「このまま捕まるわけにはいかない!」
商店のカウンターに飛び込み、樽の中に隠れ、町人と協力して変装しながら逃げ惑う。
しかし、武人の底知れぬ執念は尽きることがなかった。
「ちょっとしつこすぎない!?そんなに王様の命令が大事なの!?」
ついには姫歌は転び、とうとう武人に腕を縛り上げられた。
「放してよ!!」
しかしその叫びもむなしく、姫歌は承諾もしないまま荷馬車へと乗せられる。
「こんなの…絶対に許せない!!!」
武人の冷たい視線を感じながら、姫歌は強制連行される――
暗く、湿った空気が漂う地下牢。
姫歌は冷たい石の床に倒れ伏しながら、ぼんやりと天井の影を見つめていた。
「……最悪。」
何度も逃げようとしたせいで、王族には秘密のまま牢に監禁されてしまった。
汚れた衣服。張り付いた泥。
手首の擦り傷をさすりながら、姫歌はひどく惨めな気分になった。
「何よ…これじゃまるで犯罪者じゃない。」
しかし、この囚われの身を知った者がいた。
それは、風の噂で地下牢の事態を聞いた侍女だった――