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寿(ことほ)ぎの魔女は途方にくれる。  作者: 雷鳥文庫


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8/12

その8。

あるじ。この水晶はミラーボールだったのですか?四方八方に光が飛び立って綺麗ですね?」

使い魔のシロフワちゃんの目に光が乱反射している。

「そんな機能があるとは。これは前任者のババーラのものなの。正しくはデイジーナ・ババーラさんのね。」


「可愛い名前ですねえ。結構な老魔女だったんでしょ。」

「産まれた時からババアじゃないからねえ。」


おや。今度は点滅しだした。

「カラータイマーですかね?主。」

「へええ。止まったら光の国に帰るのかしら。」

「止まったら帰れませんよう!」

 

点滅が止まった。


「やだわ。爆発するんじゃないでしょうね。

古くなったセルロイドみたいにさ。

あーあ。デカいからって前任者のなんか使わなきゃ良かった。

すぐに、捨てましょう!そーれ!」


とりあえず魔法で持ち上げる。窓をあけて放り投げるか。空高く。馬肥ゆる秋ではないけれど。

(今は三月)


「やめておくんなまし!」

「あら。シロフワちゃん、いきなりみやびな言葉?

「違いますよう。私じゃ、ありませんよう!」


「家を壊すとか、水晶球を壊すとか!

めちゃくちゃでござりますわいなあ。あちき、こまってしまいますわ。」


ぼうっ。


水晶玉から光が出て、天井に小さな少女の姿の像を結ぶ。

全長10センチくらいかな。

白くてふわふわとしたドレス。銀色の髪に銀色の?瞳。

前時代な格好をした美少女だ。


「レ○ア姫方式?」

「何おっしゃってるかわかりまへんが、あちきは先代の魔女、デイジーナ様につかえておりましたの。

屋敷に取り憑いていた妖精…のようなものでござんす。」


「…ようなもの?」


フウッ!!

シロフワちゃんの毛が逆立つ。


「…あるじい。こいつ妖精なんかじゃないですう。

妖精には羽根があるンですよ!

……こいつはただのお化けです。」


「あっ、いきなりバレた。」


ほうう。それならば。


「悪霊退散!

魔除けのパワーストーンよ!

出でよ!

オニキスよ!ラブラドライトよ!ラピスラズリよ!

翡翠にルチルクォーツよ!」


空間収納させておいた愛する石たち。

それらを出現させて水晶球を取り囲む!


シュ!シュ!パチン!

ほうら、五角形の包囲網が出来た。


「主?天井に投げつけるのでは?」

「フフフ。シロフワちゃん。あれは映像。実態はこの水晶球の中よ。このクラックの中から入り込んでいたに違いないわ!」

「なるほど!多少のクラックと内包物は本物の印!ですものね。」


水晶玉を取り込む各種天然石パワーストーンたち。

そのパワーにまけたのか白い煙が現れる。


白い少女の足の先は霞んでいて、水晶玉につながっていた。

それが断ち切れそうになっている。

「や、やめてくださんせ!

リアルな『玉の緒よ、絶えねば絶えね』になってござんす!

あちきはただ、この家を壊されたくなくて、出てきたでありますわいなあ。」

「一緒にアンタも駆除したらすっきり♡すると思うの。」


「そんなっ、殺生なあ。この家の隠し部屋を開けて差し上げようとしてましたのに!

チカラ任せに家ごと壊されるのでは、かないません。

デジーナ様の結界は、あちきなら解けますわ!」


必死で身をよじるゴジックロリータな服を着ている白いお化け。

(でもコトバはありんす言葉。)


パチン。


とりあえずパワーストーンを消すというか収納する。


「なあんだ。早く言ってよ。アンタが解除してくれるんならそれでいいわ。」


「もともとこの屋敷はあちきのものでしたの。死後も未練がましく住みついていたのでありんすが、いきなりデイジーナ様がこの屋敷を買って住みついてしまいましてなあ。」


「あ、アンタの昔話には興味ないし。

デイジーナは正しい手続きで買ったと思うし。」


「そ、そんなあ。」


お化けには同情しないことに決めているのだ。

後が面倒くさいからね。


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