その6。
誤字報告ありがとうございます。
「現実的な話をするわ。住み込みで猫の世話をする話は却下よ。」
「えええ。」
「とにかく一度戻って、この夫婦円満ブレスレットをお姉様や妹さんに差し上げてらっしゃいよ。
送る?贈る?ま、どっちでもいいけど。
そして足りないお金を持ってきて。水晶玉占いをしてあげるから。」
「…お城の金庫番がシブチンなんですよね…私が小遣いをくれと言っても、ベロディ王女から借りたらどうですかとしか言わないんです…」
「それでベロディ王女に借金のかたとして売り付けられるのね。」
ふーん。外堀を埋めようとしてるのか。兵糧攻めか。
「…金庫番の爺やはベロディの味方なんです。『小さい時から知ってますがの、フォッフォッ。あんな良い子はおりませんぞ!』ってね。」
「へえ。」
「ベロディは姑息なんですよ。父上母上、兄上にも季節ごとの贈り物、お誕生日の贈り物を欠かしません。
母には『王妃様。ウチの領地で取れた虎の毛皮の帽子はいかがですか?』と。母の誕生日は寒い時期ですのでね、毎年襟巻きとかコートとか高級な毛皮を…ええ、うちは貧乏なんで買えませんよ!
当てつけのように贈ってくるのです。
おかげで母は全身虎の毛皮にすっぱり包まれて!
温かそう!強そう!たこ焼き好きそう!」
「ほおお。」
「兄には『王太子様。今年も素敵なハムが出来ましたわよ!暮れの元気なご挨拶ですわ!』と。」
「お兄さんのお誕生日は年の瀬なのねえ。」
「ええ!どうせウチではそんな高級なハムセット買えませんよ!
悔しい!美味しい!ローストビーフも入っていて素敵!」
「ふううん。」
「父上には『王様。今年も良いワインができました。
新酒をガブガブ飲んでくださいませね?』
きいい!悔しい!ウチにワインを樽買いするお金が無いからって!父上も毎年楽しみにしちゃって!」
気配りが出来て良い姫じゃねえか。
しかも畜産もさかん、ワイナリー充実。腕の良い狩人もいてなんの問題もないよね。
「婿入りしなよー、その方が幸せじゃないの。そんなに貴方にベタ惚れで。いいじゃん、いいじゃん。」
「もう!他人事だと思って!」
半泣きの王子様に
「所詮他人事ですから。」
と返す。
「そしたらこう言うのはどう?」
引き出しからいくつかブレスレットを取り出す。
「お城には侍女さん達が沢山いるでしょ。これサンプル。
水晶、ローズクォーツ、アメトリン、アクアマリン。フローライト。それらをミックスしたカラフルなブレスレット。」
じゃらり。
テーブルに並べる。
「欲しい人がいたら、ここまで連れてきてよ。
オーダーメイドのご相談にも乗るし。いろんな効果もつけちゃう。安眠とか。仕事運とか。もちろん恋のおまじないもね?」
「えっ、欲しい!」
「王子さーん?ろくにお金が無いあなたが何を言うの。
その無駄に美しい顔と血筋で!あなたの城の侍女さんには人気があるんじゃない?」
「まあ、それは。不人気とはいいません。クッキーも貰ったりしますし…」
それでランクをつけたりするのか。
15番目で悪かったな!
「侍女さん達にこの見本みせて!客引きしてよ!
私はね、さっきも言ったけどパワーストーンのアクセの方が本業なの。」
「そんな。城の使用人に迷惑かけるなんて。」
「ブレスレット一本売れるごとに500ギエン払うから。」
「声かけます!」
…オイ。
手のひらをくるくるりと返してないか?
「貴女だってウチの国に棲む国民!王族として暮らしを守らねば!
それに10個売れば水晶玉代が出来ますね!」
あっそう。




