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寿(ことほ)ぎの魔女は途方にくれる。  作者: 雷鳥文庫


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5/12

その5。

「じゃあさ、ひとつ提案をするけど。」

愛猫シロフワを膝の上に乗せて座り、王子と向き合う。

「何でございますか?魔女様。」

王子はテーブルの反対側に座っているが、その目はお猫様に釘付けだ。

その手が怪しく動いている。左右に動き、上下に動く。そして指だけグニグニと。


「…その手つきは何?」

「えっ、あ、いや。エアーでお猫様を撫でてました。無意識です。気になさらず。今喉の下に手を突っ込んで撫でまわす妄想を。えへへ。」


……気にするわ。気色わりい。美形のさわやかスマイルで誤魔化せると思うなよ。そのエロい手つき。


しゃー!しゃあああっ!


ほら。シロフワちゃんも毛を逆立てて怒っている。

「ああっ!しゃーしゃーネコちゃんも好きっ!飼い慣らしてデロデロにしたいっ!」

恍惚とする表情を浮かべるミゲール王子。


「あ、あるじ。身の危険を感じます。ゾクゾクするうっ!」

身を捩ってイヤイヤをする猫。その顔には斜線が出でいる。

(良くちび○る子ちゃんの顔に出るアレだ。)


「じゃキミ。お部屋に戻っていなさい。」


「え!やめてください。ここにいてっ!猫ちゃん!

もう怪しい手つきをしませんからっ!」

手を合わせ懇願する猫好きの変態。


「……こほん。では話を続けるわね。

まずね?タロットでも水晶玉でもいいわ。あらかじめベロディ王女やその他の候補との相性を見るというのはどう?

それならお安く済むわよ。」


「あ、なるほど。」


「それでね?ベロディ王女との相性が悪いと分かれば、私も八百長することなくお告げができるわけよ。それからまあ、出張しての料金がかかるけど。

ぶっつけ本番より良いわよね。」

魔女としての良心と誇りもあるからさあ。


「はい。そしたら他の二人の令嬢との婚約もスムーズに行きますね。

……お告げ代はローンでお願いしますっ!」


うーん、一国の王子が15万も出せないのかよ。

どれだけ貧乏金なしなんだ。



「まあ応相談で。で、水晶玉とタロットどっちにする?

水晶玉のほうがね、間違いはない。お相手の顔が浮かんでくるからね。

とりあえず候補者の絵姿を見せてよ。三人の中から選ぶ形になるんだから。」


「はい、ここに。」


ズラリ。三枚の姫の絵姿が並ぶ。

ふーん。この子がベロディちゃんか。

キャラたってんなあ。

黒のショートカットは見るからに剛毛だと分かる。

青い澄んだ目は意志が強そうだ。

逞しい二の腕。色黒の肌。引き締まった身体。

女らしいというより頼り甲斐があるアニキって感じです。


騎士というか、狩人かな。愛の狩人か。


「丈夫で長持ちって感じでいいじゃん。多少の困難も

乗り換えて包みこんでくれそう。」


「丈夫で長持ちで包みこむって。エコバッグを選ぶんじゃないんですから!」

王子様はイヤイヤをする。子供かい。


さて、残りのお二人は。


「二人とも似たりよったりだな。」

いかにも手弱女たおやめである。

両方とも柔らかなプラチナブロンド。青い目。

細い身体。

確かに、ちょっとコルセットがきつかっただけで、

「きゅう。」

と言って倒れそうだし。

悪者が来たら抵抗することもなく、

「あれえ。」

といって攫われ放題のようである。


風が吹いたら飛ばされそうで雨が降ったら溶けそうな。

砂糖菓子のような印象をもつ二人だ。

こう言うのがウケるのだろう、そしてそのように()()()()()()()()()()()


ぶりっこか?ぶりっこかもな?


ふうっ。


「で、どちらが本命なの?」

「こちらです。我が麗しのスノー姫。」

「あ、そうですか。」

目が細いほうか。凄いまつげだ。見えるのかいな。


「私は細い目が好きなんですよ。」

「へえ。」

「いつも、小首を傾げてうん、うんうんって頷いて私の話を聞いてくれるんです。」

「はあ。」


「ああ、愛しのスノーに会いたい。スノードロップ・ガーランド公爵令嬢に。」


「え?本名はスノードロップさんなのね?」

「ええ。」

「ちなみにもう1人は?」

「ベラ嬢ですか?ベラドンナ・コーンランド公爵令嬢です。」


「毒バナの揃い踏みじゃねえか。

美しい花には棘があるって言うけど。そちらの国のネーミングセンスはいかがなものか。」


「え、あ?そういえば?」


「ふうううううっ。じゃあ5000ギエンで水晶玉でいいね?

三人娘の中から1人面影が浮かびます!」


「わくわくっ。」

…どっかの子供の超能力者かよ。


「あ、でも。少し待ってもらえますか?実は今手持ちが25000ギエンしかないのです。」

急に真面目な顔になる王子様。


「充分足りるじゃないよ。」

「いや、その…水晶玉に使ったら姉妹のラブなブレスレット代が足りません…お勉強していただいて、ひとつ4500円。五人分で22500円ですよね?」


あら。姉妹のブレスレットを優先か。

良いとこあるじゃん、この王子。


「ですから!水晶玉分は労働で払います!

住み込んでお猫様のお世話をするってのはどうでしょうかあ?」


満面の笑みを浮かべる王子。

それって。


「おい!猫と触れ合いたけだろうが!」


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