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寿(ことほ)ぎの魔女は途方にくれる。  作者: 雷鳥文庫


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4/12

その4。

「とにかく…彼女との結婚は考えられないんです。」

顔をおおってさめざめと泣くミゲール王子様。


「どうしてそんなにベロリンチョ王女が…失礼ベロディさんか。嫌なんですか。」

まさか好みではないからと言う理由ではないだろうな。


「好みでないからです。」


…そのまさかだった。


「あの王女様は元気過ぎる!私は儚げでたよやかで、ほっそりしてて、風に吹かれたら、『あああっ。』って飛ばされそうになって、廊下で「わっ!」て脅かしたら『きゃあああん。』って言って気絶するような女の子が好きなんです。」


「…アンタのことを今度から馬鹿野郎と呼びます。」


「だって!ベロディは男の子みたいで!色黒で髪の毛も黒くて短くてバサバサしてて!

まあ、目の色は綺麗な青色ですけど。それは好みなんですけど。

私はね、プラチナブロンドの細くてコシの無い髪をふわふわとなびかせた美少女がいいんです!

『やあ、イタズラな風が君の絹糸のような髪を沈丁花の枝に絡ませてたね。僕にまかせて。取ってあげる。』って!

枝に絡んだ髪を解いてあげるのが夢なんです!」


「ポ○の一族の読みすぎですよ。」


「…私だって見かけだけで言ってるわけじゃありません。

ベロディは小さい頃、男の子の格好をしてウチにしょっちゅう遊びに来てたんです。

遠い夏、息をころしてトンボをとったりしました。」


「その後、守ってあげたい。とはならなかったのです

ね。」


ユードンハットゥウォーリー♬


「魔女様。男友達だと思っていたものが実は隣の国の姫だった。

そして昔から私の事が好きだった。婿入りしてもらうのを虎視眈々と狙っていた。

それを知った私の衝撃をお察しくださいませ。」


ポロポロと泣くミゲール王子。確かに彼は華奢で美しいプラチナブロンドだ。

きっと姉妹もそうなのだろう。それを見慣れていたんだな。


「ドレスを着た彼女をみても、学芸会で無理矢理押し付けられて女装をしている男子生徒にしか見えないんですよ!

日に焼けた肌にのりきれなくて、剥がれている化粧。

これでもかと赤くはみ出すように塗りたくった口紅。

ドレスから飛び出ているたくましい二の腕。」


「…それは隣国のメイクや服のコーディネーターがいけないんですよ、きっと。悪意がありましたね。

二の腕が目立たないデザインを選ばなくてはねえ。」


王女様に恥をかかせたい奴らがいたのかい。


「…とにかく、好みでは無いんです。私の海綿○も反応しませ…」

「オイ!ストップ!下ネタ王子がっ!」


魔力で拘束して振り回す。


「あっ、らんぼーはやめて下さいよう。」

「…テメエ!乙女の前で下ネタをナチュラルにかます、その不埒な精神を追い出してやる!

縦横シェイク攻撃じゃっ!」


「…やめてください。せっかくいただいた紅茶とクッキーが出ます!大切なカロリー源をリバースしたくありません!」


「それもそうね。床が汚れると困るし。」


とりあえず椅子に深く座らせる。


ボトリ。

天井から落下して来たものが。


「オイ。さっきから聞いてりゃなんだオマエ!ご主人サマはな、百歳越えの可憐な乙女なんだぞ!下ネタをかましていいと思ってるのかっ!

ミゲール王子!オマエのナニなんかもげてしまえっ!モゲール王子に改名しろよ!この野郎!」


シャー!!

そこそこセクハラの発言をしながら、使い魔の白猫が王子に威嚇した。


「あ、こら。」

「いいんですよ、あるじ。こんなやつオレの爪の餌食にしてやりますよ!」


ふううっ!


「いや、かえって不味いわよ。」

「やだっ!猫ちゃあん!きゃわいいいっ!なんだキミいたの?

もー、言ってくれればいいのに!」


ほら、王子の猫好き心に火がついたようだ。


「なんだ、オマエ。」

「お願いお願い撫でさせてえっ!お名前なんでちゅか?んー、いい毛皮でしゅねえ!」

満面の笑みを浮かべて猫を抱きしめる王子。


「…気持ち悪いなあ!離せこのバカ。」


バタバタ暴れる使い魔の白猫。毛が逆立っている。


「…あー、この手触り!うーん!うわっ、肉球もピンクじゃん、隙間なくかわいい!

ねっ、ちょっと吸わせて?ねっねっ!」

「やめろ!ヘンタイ!」


「『威圧!』『威圧!』」


「ぐわっ!」


なんとか猫を助けだす。

あるじ、なんだよコイツ。いいのは顔と血筋だけじゃん!あー、気色悪い。」

一緒懸命に身体をなめて気持ちを落ち着ける白猫。


「大丈夫?シロフワちゃん。」

「うにゃ。」


「シロフワちゃん。しろくてふわふわだからですか!いい名前だ。」


うっとりした顔の王子。


「時々間違えてフワシロちゃんと呼びそう。そして誤字職人さんに、速攻訂正されそうですね!」


…余計なお世話だ。


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