その3。
「話を戻しますが、その、魔女様に伴侶を占って頂くとなると…おいくら必要なのでしょうか。」
威圧から立ち直ったミゲール王子様が恐る恐る尋ねてきた。
「ハイ。」
すっと料金表を渡す。
「これが正規の料金表よ。」
「ははあ。拝見…」
◎パワーストン ブレスレットまたはペンダント
石により時価。
(参考として5000ギエンから。)
◎恋占い
水晶玉使用 15分5000ギエンから。
タロット 一回3000ギエン
おみくじ 一枚500ギエン
但し、出張する場合は別に費用がかかります。
◎お告げ
ゴージャスなローブ使用 5万ギエンから。
(件数によりお値段アップ。15万で聞き放題サービス。)
魔女の黒衣装使用 3万ギエンから。
布の服 1万ギエン
紙の服 5500ギエン
(但し紙の服は季節によってはお受け出来ません。)
出張費用は別にもちろんかかります。
◎呪い・おまじない 応相談
(使うアイテムや本気度によってお値段が変わります。
一例 藁人形 一体につき50000ギエン)
「ま、呪いはね?こちらも体力気力を使うしね?お高めなのよ。黒猫を生贄とかにすると効果はあるけど目がとび出るほどお高いよ?」
高い料金をふっかけて、
「あ、やっぱ良いです。」
という効果を期待してのことだ。
「な、何を言うのですっ!猫ちゃんを犠牲になんて!あんな素敵で可愛い、人間を下僕にして赤ちゃん言葉で『ううん、今日も可愛いでちゅねー、何でそんなに可愛いんでちゅかー、毎日可愛いというお仕事してるんでちゅね?ご苦労様です!』と言わせてしまう素晴らしい存在をっ!アンタ血の通った人間ですかっ!血の色は何色だ!青いのかっ!はあはあはあ!」
頭を振り乱し、息を切らせて怒る王子様。
「あーもう、例っていったろ?例って。」
猫好きなんだな。
「こほん。で、でもこの料金表かなりお安いですね…」
「でしょ?それにさ、お姫様へのブレスレットは特別割引として、本当はひとつ5500円(税込み)のところを4500円でいいよ?」
「も、もう一声!」
「ダメ。あんまり下げると協会に怒られるんだよ。」
お茶を飲み干す私。
「それでさ、縁談のことはお告げ扱いになるけど。どの服でやる?」
「お値段で装備も変わるんですね…某ゲームのようだ…」
「それに出張料金もいるからね?
もちろん、神秘性を高める為に腕輪とかサークレットとかつけていくのもありだけど、また料金は上乗せだけどね。
でも、まあ、王家へのお告げでしょ。あまりボロい格好もダメだから…フル装備で行くよ。」
カタカタカタ。
おや?王子様の歯の音が。震えて顔色も悪くなった。
「いいいくらほとどに、なるのででてしょうかああ?」
「ええと?ここから城までの距離。
ゴージャスローブの着用料金…アクセ使用料…聞き放題コースにする?」
「いっ、いいええ!ピンポイントで!私の結婚相手の指名だけでっ!」
「うーん、そうだなあ。コミコミで15万ポッキリで良いよ?」
「えっ、思ったより高い…」
「往復の交通費とレンタルローブとレンタルアクセの料金も入ってるからね!あと小道具としてレンタルの魔法の杖。王家に行くなら演出として必要かな。模造ダイヤ付き。」
「みんなレンタルなんだ!」
「クリーニング代込みでね。」
ゴージャスな衣装なんてめったに使わない。レンタルで充分さ。最新の流行のモノが借りられるからね。
「それであの…ご相談なのですけど、た、例えばですね?指名ってお願い出来ませんか?私の希望の人を選んでもらう、その、パフォーマンスというか…特別料金が必要なら!それこそ三十五年ローンで!」
「はあ?八百長をやれってか?」
ポロリ。
王子様の目から涙が。
「私は実は意にそわぬ縁談を断りたいのです…。」
その顔は真っ青だ。
「私に求愛してくる他国の姫がいますが…彼女から逃げ切りたいのです…」
「……。」
「どうか!どうか!彼女以外を指名していただきたい!
寿ぎの魔女様のお告げだったら、ベロディ王女も諦めると思うのです…」
「…他に候補者はいるの?そこから選ぶことになるけどさ。」
「ええ、我が国の侯爵令嬢が二人。」
ふーん。
「…一応私も魔女としての誇りがあるんだわ。
ベロリンチョ王女が相性バツグンだったら嘘は言えないよ。」
「ベロディ王女です!あの女は私を食いつきそうな目で見るんだ!怖いんですう。」
愛されてるんじゃん。乞われてるんじゃん。
「大丈夫。パワーストンのブレスレットをお譲りするから。王族の勤めでしょ。他国との婚姻は。
お姫様達だって嫁いだんだ。貴方だけ嫌とも言えないでしょうよ。
ふふふ。お安くしまっせ?ラブラブパワー付きのブレスレット。」
「うわああああああっ!ラブ注入されちゃうう!」
王子様の悲鳴がまたまた森の中に響き渡った。




