その2。
現代の単語が出てきても、「カラコン」とか。
ファンタジーでギャグでコメディなので流してね。
「とりあえず情報を整理したいのだけど。」
「は、はい。魔女様。」
「貴方はこの国の王子様で宜しいのよね?」
ピシッ!
王子(仮)に指を指す。
「あっ。人を指差してはいけないと学校で習いませんでしたかっ?」
「あ、ごめん。魔法学校では教えてもらわなかったわ、そこんとこ。
じゃなくて!名をなのれっ!『威圧』!」
魔法で威圧する。
「ああっ!締め付けられるっ!押し潰される!この圧力っ!
んっ……でも嫌いじゃないいいっ!」
げっ。
キモくてチカラが抜けた!
「…はあはあ。失礼しました。私はメルト国の第二王子。ミゲールと申します!」
「もげーる?」
「ミゲールです。寿ぎの魔女様。ミゲール・モルトです。」
「…ジーナよ。私はジーナ・ババーラ。」
「ジジイなババア?」
スパーン!
「いてて。」
「『威圧』を使う前に手が出たわ!誰がシジババじゃ!
ジーナ・ババーラ!」
「そういえば、先代の寿ぎの魔女さんもババさまだった?」
「ババーラ姓なの!魔女は大体ね!
先代もババーラと名乗っただけでしょ!」
「ほう。魔女はババーラ一族しかなれないと?」
「うーん、いや…聞いたことないの?魔女がどの様にして魔女になるか。
説明の前に椅子に座って。
ホラ、汗を拭いてお茶のおかわりを飲んで。
『威圧』で冷や汗かいたでしょ。」
「はっ、このタオルをお借りすると…料金が発生するとか?」
「タダじゃ!ボケえっ!」
よっぽど魔女を業突く張りと思ってるんだな。
「…コホン。ではこの国ではあまり魔女が生まれたことが無いわけね?」
「はっ。ばば様一家はウチの国にはおりません。」
「…だからそれ、違うし。
えーっとね、この髪。青いでしょ。この目は紫色。
あまり見た事無いでしょ?」
「はい。素敵なウィッグですね?あとカラコン?」
「だーっ!天然の色だわ!染めてねえしっ!」
「ええええ。そんなっ。そんな色の人類が存在するのですか?その髪は茹でると赤くなるのですか?」
ばしっ!
「ああん。またぶった!父親にも打たれたことないのにっ。」
「人をエビカニ扱いするな、誰がアスタキサンチン色素持ちじゃっ!」
わからない人はググってね?
「つまりね…」
この世界では時々、青い髪で紫色の目の女の子が生まれる。
それが魔女の印。その日のうちに先輩魔女が来て、
「コンチワ。うちの新人生まれたみたいねえ?
連れてくわ!」
と有無を言わさず連れ去っていくのだ。
「今日からアンタはババーラ一族。いいね?」
となる。
それがどんな生まれでも。まずしい農民の子でも。貴族の子でも。
「エッ。そんな?誘拐じゃないですか?」
「そうね。でもそうしなきゃその子も、生きられないから。ちゃんと先輩から指導を受けないとね?」
「ははあ…せっかく生まれた跡取りでも、ですか?そんな鬼畜な殺生な!」
「好き勝手言ってくれるわねえ。まあ、その通りだけど。」
立ち上がってお茶受けのクッキーを出す。
「食べる?どうせ飲まず食わずだったんでしょ。」
「ごくん。……でもあのその。」
「あー!もう!お金は取らん!」
「ごっつあんですっ!」
王子様はクッキーを口に入れる。
「あああっ。美味しい…少し硬くて砂糖もバターも足りないけど、空腹に不味いもの無し…」
「叩くぞ!人の手作りに文句つけるな!」
「えっ!魔女様手作り?いやどっかのお店のものだと、素人の手作りなら、うん、上出来です!
私がもらった手作りクッキーの中でも上位十五位に入ります!」
「褒めてんの?それ?まあいいわ。
…話を戻すとね、王侯貴族の子女でもこの髪に生まれたら魔女が迎えにきて魔女になるのよ。」
「えっ?王族の姫も?そんな…」
「聞いたことない?魔女に攫われた、ディディ国の姫の話。それが私よ。魔女になってジーナ・ババーラとなったの。」
「…御伽話だと思ってた。」
「実話なのよ。」
「だって100年前の話…どう見ても貴女は十代後半か二十代前半…」
「魔女は長生きなのよ。」
「やっぱり…ババア…」
ぎゅうううう!
「潰れろ!『威圧』!『威圧』!『威圧ーっ!』」
「お助けエエエ!」
ミゲール王子様の悲鳴が森に響き渡った。




