その12。
石の効果は諸説ありますし、軽く流して下さいね。
つまりなんだ。この泣きぼくろのリーダーさんが(勝手に認定)同僚の侍女さんたち?に嫌われてるって事だな。
把握したっす。
「とにかく、キミ達。ブレスレットを作ってもらいたまえ。(そうすると私にキャッシュバックが入るんだ。)」
王子様はにこやかに圧をかけてくる。カッコ内の副音声も私にはハッキリと聞こえますよ。
「一応ね。悪縁を断つのはオニキスや天眼石とか言われてるけど。守護してくれるのはアメシストとか、ラピスラズリとか、ラブラドライドとか…言われています。」
「言われています?」
王子様、ナイスアシスト。
「ええ。効果は諸説あります。それに個人の感想です。」
ここ大事。言い切っておかないとナントカ法に触れちゃう。
「ぶっちゃけ魔女の元締め神聖国にある、魔女協会からのガイドラインってのがあるのよ。
コホン、とりあえず天然石をご紹介しますね。
こちら、アメシスト。」
はい、どーん!
「この完成品は粒が大きくて、色も濃くていいでっせ。
もちろん、となりのビーズの連から粒を選んで作るのも承りまっせ。」
「いきなり商人になってるね!魔女殿!」
王子様のツッコミもなんのその。
「皆様にご紹介したサンプルは各種ストーンをミックスして可愛いらしく仕上げたものでした。
だけど、このように一種類の石でまとめるのも手ですよ。」
「他にも見たいです!」
おさげの子が手をあげた。
「ようし!アメシストと同じ守護の石。ラブラドライトだあ!
白っぽいのと黒っぽいのをご用意いたしました!
傾けると光る、シラー効果(正式名称ラブラドレッセンス)がウリですよっ!」
「あらほんと。傾けると青く光ったり、オレンジに光ったりするわ。」
黒髪おかっぱの子がつぶやく。
「こほん。ホントは時価なんですが、この三つのブレスレットの完成品は5000ギエンでいいですよ。」
ウンウン!と頷く王子様。彼の頭の中には一個500ギエンのキャッシュバックでいっぱいのようだ。
「ネックレスはありますか?どうしてもお掃除とかありますから、ブレスレットよりは…」
金髪ポニーテールの子が上眼使いで見てくる。
この子が1番熱心な目で見てる。石が好きなのかな。
あの泣きぼくろのリーダーは、多分王子様が好きでやってきたんだ。他の三人は付き合わされてるんだな。
「そんな貴女には厄除けの守護神・ラピスラズリのネックレスはいかがかしら。」
ジャラリ。
空間から取り出す。
「まあ!なんかすごい!」
目を輝かせる金髪ポニーテール。
「お値段は…そこそこします。パイライトもバッチリ入ってますよ。練りや染めではないですからね。」
「そ、そうですか。」
「粒が揃ってますしね。ブレスレットの四倍の石を使ってますから。」
「単純に四倍なのか?二万ギエン?」
王子様の目が輝く。バックも四倍と思ってるのかな?
「コホン。一件は一件です。」
「そうか。キミ、無理してはいけないよ。」
優しげに諭す王子様。その目からギラつきが消えて(なあんだ)って顔になっている。
「ブレスレットなら、入手しやすいだろ?そうしたらどうかな。」
優しさの顔の裏に打算が見えている。
やだねえ。
「お勉強しまっせ。一万五千ギエンでいいですよ。」
「ヒュー♫こいつはお買い得だっ!」
王子様、サクラだと思われるからやめて。
ヒュー♫って口笛は何ですか?
「あ、あの!取り置きでお願いします!」
おや。そこまでして切りたい縁なのか。
「…人の悪意を跳ね返す最強の石もございますよ。
見たいですか?」
「是非!」
「そんなのが!」
「パワハラにも効くのかしら!」
三人の娘さん(泣きぼくろリーダー以外)が声を上げる。
王子様。少しは侍女さん達の職場環境に気をつけてあげて?
「ふふふ。良いですとも。天眼メノウをお出ししましょう。
イヤリングとセットで使うとなお、宜しい。」
天眼メノウ(または天眼石)とは。
黒白のメノウが目玉に見えるヤツである。
イヤリングは更に目玉っぽく削ってあるのだ。
魔除け効果がある(とされている)んですってよ!
さあ!どうだ!イヤリングなんか怖いだろ?
試しにつけて見せる。
耳元でゆらめく目!
「きゃあああー!!!」
泣きぼくろリーダーが飛びだして行った!
目玉模様がそんなに効くとは。
アンタはベランダに寄ってくるハトかなんかか。
「買います!こっちを取り置きで!!!」
金髪ポニーテール少女は叫んだ。
「…これてあの女が追い払えるなら。くくくくっ。」
わあ、こわ〜い。
コレらの石は私の私物です。
綺麗だから集めただけで、特に効果を期待してるわけではないですよ。




