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寿(ことほ)ぎの魔女は途方にくれる。  作者: 雷鳥文庫


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11/12

その11。

 その時、外が騒がしくなった。

秘密の部屋を出て、母屋に?戻る。

あるじぃ。ビンボー王子が戻って来たみたいですよお。後ろに女の子を四人つれてます。」

外の様子をシロフワちゃんが見てきた。

「へえ。その中から相手を選べって言うのかしら。」

ふふん。さっき儲けたから割引きにしてやるか。


トン、トトトン。


随分とリズミカルなノックだな。


「入ってます。」

「主、トイレじゃないんですから。」

シロフワちゃんがドアに駆け寄る。

「ハイハイ、ただいま。」

ジャンプしてドアノブに下がってあけることが出来るのだ!お利口だね!

(ただし、ネコあるあるで締めることはできないのである。)


「シロフワちゃああん!マイスイートなキャット!

会いたかったよおおおおっ!きゃわいいいん!」

金髪美形だが、ビンボーな猫狂い王子様が現れた!


そしてシロフワちゃんを抱きしめようとする。


「ぎゃっ!キモいですううう。」

くるりと回転して華麗に王子に蹴りをいれ、その反動で私の方に逃げてきた!そして私の背中に張り付き、恐々とした表情で顔だけを肩から出して覗く。


「ああっ、逃げられた!連れないなあ!ちょっとだけ撫でさせて!スーハアア!って吸わせて??

ねっ、ねっ、ねっ?」

「ねっねっねっ?じゃありませんよう、へんたいっ!」


「まあ、しゃべるネコちゃん!」

「かーわいいいっ。」

「王子様が夢中になるだけのことはありますわね!」

「魔女の使い魔ってホントにいるんですのね…」


その後ろから入ってくるお嬢さん達。


「ね、こんなにお客様を連れてきたんだよ。

お城の侍女達なんだ。みんな私のファンなんだって。」

な、なるほど。

「それは、ありがとう?モゲール王子。」

「ミゲールですっ!」


とりあえず皆をテーブルに座らせる。

(シロフワちゃんは奥に引っ込んだ)

お茶を出す。勝手にセッティングされていく魔法のポットとカップにみんなの目が釘付けだ。

最初にがつん!と魔法をかましておかないとね?


「…中は広いんですね?」

泣きぼくろが色っぽいお嬢さんがまわりを見まわしてつぶやく。

この子がリーダーっぽいな。

「そう。多少伸び縮みするのよ、ここの前任者の魔女は空間を操るのが得意だったみたいでね…。

それでみなさんはあの見本の?ブレスレットをお気にめしていただいた?って事でいいのかしら。」


「はい!王子様がご姉妹に贈られたブレスレットも、ものすごい効果だったと聞きますわ。」

「付けた瞬間、スタイルがぐっと良くなったとか。」

「瞳がパッチリと二重になったとも聞きます。」

お嬢さん達が捲し立てる。


「ああ、あのブレスレットには夫婦仲を深める効果があったの。本当は体内からその人それぞれの魅力を高める効果なのよ。」


「ああ、それで元々ナイスボディのボーンヌ姉上はもっともっとくびれが現れて、二重瞼の妹のメイミはさらに目力アップになったのだね。」

王子様はニコニコと頷く。


「美しい方はより美しく!そうでない方もきっとそれなりになるはずですわね!」


そうね、なんかのキャッチコピーみたいだけど。


じゃらり。

こないだの見本のブレスレットを出す王子。

「みんなこれでも良いって言うんだけど、人によってオーダーメイドも出来るんだよね?」


「ええ、出来ますよ。石によって効果が違うし、お値段も変わりますが…」


「例えばどのようにですか?」

泣きぼくろ美人が食いついてくる。


「そうね。恋愛運はもちろん、金運、健康運、仕事運。」

そこで薄笑いを浮かべて彼女達を見回す。


「…苦手な人を遠ざける効果のある石も。嫌いな同僚と縁を切るとかね?」


「それっていい!」

「それが私が求めているものです!」

「やだ、そんなのがあるんですか?」

泣きぼくろ美人以外の娘さん達が食いついたぞ。


「…あ、貴方たち?職場に不満が?」


ははあん。人間関係がすこーしわかってきたぞ。



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