俺たちの夢
レットとルミナスはカラバスに木でてきた机と椅子が置いてある部屋に案内された。
「ここでいいか。じゃあレット、魔法の属性を見るから、手のひらに力込めてみろ」
「え?魔法ってそんなすぐ使えるのか?」
「魔力はもう流したからな。入り口で握手した時ビリッときたろ?あの時もう魔力は流しておいた。後はお前に素質があるかだ」
「よし!!やるぞぉ」
レットは自分の手のひらに力を込める。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬ」
レットは踏ん張るように声を上げるが手のひらには何も変化はない。
「うーんこれは・・・・・・残念ながらお前に魔法の才能ないな」
「えーそんなぁ〜」
ガックリと肩を落とす、レットの横でルミナスもカラバスから魔力を流してもらっていた。
「残念だったなレット。今度は俺の番だ」
ルミナスは手のひらに力を込めると、手から水が湧き出るように少しづつだが出てきた。
「おールミナスお前は才能あったみたいだな。水属性か」
「水属性か・・・・・・おし!!」
「いいなぁ〜」
レットは羨ましそうにルミナスを見ているとルミナスは自慢するように手のひらの水を見せつけてきた。
「まぁ後は手のひらから水を出すことを繰り返せば魔力も増える。使い方は後で教えるか」
「ありがとうございます。カラバス先生」
「クソォ・・・・・・だけど剣術なら俺の方が上だからな忘れるなよ!!ルミナス!!」
「なんだレット?負け惜しみかぁ?」
「あぁん!!」
喧嘩する二人の間にカラバスは割って入ると、まぁまぁと二人を宥めた。
「ところで二人はなんでこんなところに?ルミナスが持ってるその大剣からして傭兵とかか?」
「いや、この大剣はこのバカが商人に騙されて買ったんだ」
「は!?違うっての未来への投資だ!!俺はこの大剣を国の平和のシンボルとして飾るのさ」
「国?ルミナスは王になりたいのか?」
「正確には王になりたいんじゃなくて、国を作りたいんです。平和な国を作ってそこで暮らすのが夢なんです」
「俺はルミナスが収める国の戦士として働く。そんな夢のために俺たちは旅をしてるわけだ」
「なるほどな。じゃあレット・・・・・・相当強いわけか」
「あぁもしかしたらあんたよりも強いかもよ?カラバス」
「ふふっこれは頼もしいな」
三人がそんなことを話していると部屋のドアが勢いよく開くと、汗をかいたデュランが入ってきた。
「大変だ!!カラバス!!」
「なんだよ。むさい男の溜まり場だぞ?ノックぐらいしろ」
「入り口に魔物たちが集まっている!!」
デュランの言葉にカラバスの表情が変わった。先ほどの冗談を言っていた顔から戦士のような勇ましい顔つきに。
「・・・・・・数は?」
「数百というところだ!!」
「サエンは違う拠点だったな・・・・・・ニュイとエンベルトは?」
「ニュイ様とエンベルトは武器の製作中で手が離せん」
「ちっ・・・・・・しかたねぇ。俺たちでなんとかするか」
カラバスは部屋の壁に立てかけてあった、弓を取るとデュランと共に部屋から出ていこうとすると。
「待ってくれ!!」
レットがカラバスを引き止めた。
「俺も行く」
「行くって言ってたってお前武器持ってないだろ」
「武器ならこれがある。ルミナス借りるぞ」
「あぁ俺の大剣!!」
レットはルミナスから大剣を奪い取ると背中に背負った。
「覚悟はいいが、お前を庇えるほどの余裕はないぞ」
「自分の身は自分で守るさ・・・・・・それにここで戦わなかったら後悔しそうだしな」
「よし・・・・・・その覚悟があれば十分だ!!行くぞデュラン!!」
「足を引っ張るなよ貴様!!」
「わかってるよ。ルミナス待ってろよ」
デュランとカラバスの後を追うようにレットは部屋から出て行った。
「レット・・・・・・生きて帰ってこいよ」
一人残された部屋でルミナスが出来ることは、ただ無事を祈ることと誰にも聞こえない願いを呟くことだけだった。