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ナイトパーティー  作者: 内山スク
6章 ネクロマンサー編
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今再び賽を振る

賽を振る。物事から逃げるように

賽を振る。私の歩む道を天に任せるように

再び賽を振る。幸運が訪れると一筋の希望を持ちながら

 目の前に立つ二人のゾンビの気迫にレゲン、カレッジ、アルファスは気圧されていた。

 死人からは想像もつかない押しつぶすような威圧感を放っていたからだ。

「レゲンさん、カレッジさん。貴方達はシャルマさんの相手をお願いします」

「アルファスさん・・・・・・いいんですか。父を倒せるのですか?」

「昔は勝てなかったかも知れませんが今は違います。あの時のつけられなかった本当の決着を今度こそつけます」

 アルファスは一歩前に出ると、足に力を込める。力強く地面を蹴るとアルファスの姿はリゲインの懐にあった。

 そのままアルファスは剣を一閃払いリゲインの首元を捉えたがリゲインの剣はいとも簡単に受け止めて見せた。

「さすが、リゲイン・ロックダイス!!強さは生前のままだ」

 アルファスの攻防を見ていたフェクネスはニヤニヤと笑っていた。

「当然だ。その二体は特別な改造をしてある。肉体は生前以上さ」

 アルファスがリゲインと斬り結んでいる中、レゲンとカレッジも目の前の相手と相対していた。

 目の前にいるシャルマ・ブイフォースは表情筋が腐り落ちてなくなったのか無表情でカレッジたちを見ていた。

 カレッジは抱き抱えたアンナを地面に優しく降ろすと自身の武器であるブレイドを抜刀しレゲンの横に立った。

 レゲンもクリスタルを構えると目の前の相手を見据えていた。

「俺が陽動する。その隙にレゲンお前が仕留めろ」

「わかりました。先輩・・・・・・」

 レゲンの返事と共にカレッジは火魔法で身体能力を強化し、シャルマに斬りかかった。

 シャルマはカレッジの剣を受け止めたと認識した直後カレッジの胸元がカマイタチに斬られたようにパックリと斬れた。

「ぐはっ!!何!?」

 カレッジは自身の胸元の傷を押さえながらシャルマの方を見るがシャルマの剣は一本握られているだけで他の武器は見えない。

「何をされたかわからなかった」

「先輩!!大丈夫ですか!?」

「レゲン何をされたか見えたか?風魔法で斬られたのか?」

「違います。彼は先輩の剣を受け止める前に、先輩を斬ったんです」

「そういうことか・・・・・・なんで奴を復活させたんだフェクネス!!」

 シャルマはゆらゆらと揺れたと思いきやカレッジ達との距離を突如として詰めてきた。

「速い!!」

 カレッジはシャルマの剣の嵐をなんとか捌こうとするがそれはうまくいかなかった。カレッジの身体にシャルマの斬撃が刻まれていく。

「くっ!!このままだと」

 シャルマの動きが突然止まった。地面が沼のようにぬかるみシャルマの足を止めたのだ。

 そしてレゲンがその隙を見逃さまいとシャルマに斬りかかった。レゲンのクリスタルはシャルマの左腕を斬り落とした。

 シャルマは沼にハマった自分の足を斬り落とし、カレッジ達と距離を取った。

「ナイス土魔法・・・・・・足元を沈ませてくれなかったら死んでたよ」

「えぇ腕と足を奪ったのはでかいですよ」

 レゲンはそう話ながら沼にハマっていたシャルマの斬り落とした足にクリスタルを当てた。

 シャルマの斬り落とした足の傷口からは結晶が生成された。

「これで再生もできなくなりました」

「よし、後はお前が首を落とせば終わりだなレゲン」

 カレッジ達が勝ちを確信するとシャルマは切断された足に力を込めると跳躍した。

 そしてそのまま落ちるようにして、カレッジ達を切り裂こうと急降下してきた。

「足がない状態でここまで動けるのか!?」

「さすがは痛みを感じないゾンビと言ったところですね」

 急降下してくるシャルマの剣をカレッジが両手のブレイドで受け止めると、レゲンがシャルマを真っ二つに斬り伏せた。

 シャルマだった肉塊が地面に落ちると二人はその肉塊が動かなくなったことを確認した。傷口からは紅に染まった結晶が突き出ていた。

「死してなお戦いに身を投じるその姿見事だった。シャルマ・ブイフォース」

 カレッジたちが戦いを終えた中、アルファスとリゲインは剣を打ち合っていた。

 金属と金属がぶつかり合う音が響く中アルファスは顔を歪ませたていた。

「違う・・・・・・こんなものではない!!私が知るリゲイン・ロックダイスは!!」

 アルファスは激昂すると同時にリゲインを切り刻んだリゲインの腐った身体は、原型がわからなくなるほどバラバラとなり肉塊となった。

 そのまま肉塊が地面に落ちると同時にアルファスが地面を踏みつけた。すると地面が軟化しリゲインだった肉塊は地面の中に沈んでいった。

「・・・・・・アルファスさん」

 レゲンとカレッジが駆け寄るとアルファスはフェクネスを睨みつけていた。

「後はお前だけだな。フェクネス!!」

 怒りの矛先を向けるように睨みつけてくるアルファスを見て、フェクネスは不気味に笑みを浮かべていた。

「いやー見事見事。ではなくなった死体は貴様らで補うとしよう」

 フェクネスはポケットから金色の小石を取り出すとそれを飲み込んだ。

 フェクネスの身体は金色の光に包まれた。昼と見間違うほど辺りを照らすと、光は炎のように変わった。

 フェクネスの身体は腕が翼に、足は鳥の脚のように変化し、口は嘴に変わった。身体が金色の炎に包まれた火の鳥へと変化した。

「これがハイレプリカ・・・・・・素晴らしい。生命の到達点フェニックスへと姿を変えるとは」

 フェクネスが自身の姿に見惚れているとアルファスは一瞬で距離を詰めるとフェクネスの首を斬り落とした。

 フェクネスの首が宙を舞い地面に落ちるとアルファスは剣についた血を払うように剣を振った。

「敵の前で自分に見惚れるとは哀れな最後だな」

 アルファスが剣をしまうとドスッという重い感触が背中に走った。

 首を失ったフェクネスの翼がアルファスを貫いていたからだ。

「ぐはっ・・・・・・なぜだ?首を落として生きている人間などいるはずがない!?」

 フェクネスの無くなったはずの首から上が炎が形をなしフェクネスの顔を形成した。

「これがハイレプリカの力さ。私は不死身になったのだ」

「アルファス!!」

「アルファスさん!!」

 レゲンとカレッジがフェクネスに斬りかかるとフェクネスは翼を羽ばたかせ上空へと飛翔した。

「ハッハハハ私をどうやって倒す?この不死身の私を!!」

「二人とも逃げてください・・・・・・奴は無敵だ」

 口から血を吐きながら苦しそうに喋るアルファスにレゲンはクリスタルを傷口に押し付けた。すると風穴が空いたアルファスの傷口に結晶が生成され傷口が塞がった。

「先輩・・・・・・アンナさんとアルファスさんを連れて姉さん達のところに戻ってください」

「・・・・・・使うんだなレゲン。クリスタルの本当の力を」

「・・・・・・えぇ」

「わかった」

 カレッジはアルファスを担ぐとその場から離れようとするがアルファスがカレッジの肩を力強く握った。

「レゲンさん・・・・・・ダメだ。貴方が死ぬことはない・・・」

「心配いりませんよ。アルファスさん・・・・・・僕は死にませんよ。仲間達のためにもね」

 レゲンの覚悟を聞いてかアルファスの力が緩むとカレッジにもたれるように身を任せた。

「村で待ってますよ」

「えぇ」

 カレッジはアルファスとアンナを連れて森の暗闇の中へと消えていった。

「お兄さん、あの綺麗な剣をもった人を置いていっていいの?」

 アンナの言葉にカレッジはニカっと笑みを浮かべて見せた。

「大丈夫だ。あいつは強いしそれにな・・・・・・」

 カレッジの言葉にアンナはキョトンとした顔で聞いていた。

「あの場にいたらクリスタルの声に魅入られちまう」

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