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ナイトパーティー  作者: 内山スク
6章 ネクロマンサー編
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死者に導きあれ

 カレッジ達が村に着くと老人と一人の少女が馬車に駆け寄ってきた。

 老人は白髪と髭を蓄え腰が曲がっているがなんとか歩いているような印象を受ける。少女は茶髪の髪にそばかすをつけた十代半ばのような容姿をしていた。

「私はこの村の尊重ルインドと申します。この村に何用ですかな?騎士様」

「私はミサハ王国の騎士団長アルファス・クレアニムと申します。突然ですがこの辺りで奇妙な噂を耳にしてませんか?」

「奇妙な噂とは?」

「そうですね。例えば死体が動き出したとか死者が蘇ったとか」

「そうですね。この村ではそんな話はないですね。腕の立つ医者ならいますがね」

「腕の立つ医者?」

「そうです。オリバー先生は名医ですよ。村の者にも慕われてますから」

「ほう。ぜひお会いしたいですね」

「今は先生は留守にしてまして、よかったら私の家でゆっくりお話でも」

「えぇぜひ馬車を止めときますので少々お待ちを」

「ゆっくりどうぞ。家は村の中心にある煙突のある家ですので先に家で待っております」

 そう話すとルインドはきびすをかえし村に戻って行った。隣にいたそばかすの少女もペコリと会釈するとルインドの後をついていくように戻って行った。

「おい、なんでネクロマンサーのことについてはっきり聞かなかったんだ?」

 カレッジが荷台から身を乗り出しアルファスに質問するとアルファスは手綱を握りながら馬を誘導する。

「下手にネクロマンサーの話を出せば村の人を不安にさせる。国民の不安は一気に広がるものさ」

「なるほどな。でこの村で情報収集を続けるのか?」

「えぇ、ネクロマンサーは医者か墓守になって潜伏している可能性が高いので」

「なんでそう言い切れる?」

「あう・・・・・・死体が集まりやすいからよね」

 アルファスが答えを言う前に遮るようにリケイルが気怠そうに答えた。

「そうです。ネクロマンサーは死体収集か墓荒らしをしなければ素体は手に入らない。戦力を整えるには打ってつけですからね」






 カレッジ達は馬車を止めると村長の家の前まで歩いていった。歩いている途中で見た村の様子はのどかなものだった。

 遊び回る子供達洗濯をする女性や力仕事を行う男性とてもネクロマンサーがいるとは思えない。

 村長の家のドアをノックすると先ほどのそばかすの少女が顔を出した。

「どうぞ」

 そばかすの少女は無愛想な表情でドアが閉まらないように抑えカレッジ達を家の中に入れた。

 家の中に入ると椅子に座ったルインドがいた。後ろでは暖炉の火が燃えていた。

「どうぞおかけください」

「では失礼します」

 アルファス達は席につくとそばかすの少女がお茶を運んできた。それを笑顔でアルファスは受け取り一口飲むとルインドに話を切り出した。

「村長さんこの村に墓守とかはいますか?」

「いえいませんが先ほどから質問の意図が見えないのですが、目的はなんですかな騎士様?」

「実は王の命を受けて犯罪者を追っていましてその情報がないかと思いこの村に寄った次第なのです」

「犯罪者ですって!?」

「この話はどうかご内密に」

「わかりました」

「あう・・・・・・おじいさん最近この村で行方不明者とか死者は出なかった?」

「行方不明・・・・・・一週間ほど前にこの子・・・・・・アンナの姉が行方不明になりました」

 そばかすをつけた少女は悲しそうな表情をしながら拳を強く握った。

「朝から家を出たきり夜中にも帰ってこずそのまま行方もわからなくなってしまったのです」

 アンナはルインドの話を聞くと姉のことを思い出したのか涙がこぼれ落ち始めた。そしてこの場から逃げるように玄関のドアを開け、外に出て行った。

「幼いあの子には姉は大きい存在でした。両親もシールとの戦争で死んでしまったので」

「・・・・・・そうなんですか。それはお辛いですね」

 カレッジは言葉を返しつつもカレッジ、リケイル、レゲンはルインドと目線を合わせられなかった。

 そんな空気に耐えられずエメリアが目線を逸らすと玄関のドアが少し開いていることに気がついた。

 そしてそのドアの隙間から手招きするように小さい手が出ていた。

 エメリアは話している途中で席を立つと玄関から外に出た。外で手招きしていたのはアンナだった。

「どうしたの?アンナちゃん遊びなら後でするよ」

「私知ってるの」

「え?」

 エメリアが言葉の意味に疑問を感じているとアンナは赤くなった顔で真っ直ぐとエメリアを見た。

「私はお姉ちゃんを殺した人知ってるの」

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