造られた理由
カレッジとアルファスは王宮の廊下を歩いていた。石造りでできた床と壁とドアがいくつもついて永遠にも続くような廊下を二人は歩いていた。
外では王国の兵士達が戦闘態勢に入り、剣や弓などを持って駆け回っていた。
「お前らが理由も話さず連れくるからこうなったんだぞ」
カレッジの言葉にアルファスは一瞬困ったような表情をするがすぐに口を開いた。
「・・・・・ですが貴方が仲間に理由を話せば解決する問題ですよ」
「俺が仲間のところに行く前に国が滅びなきゃな」
二人は話しながら廊下を歩いていると目の前から誰かが走って近づいてきた。段々と近づいてくるその人物は長く白い髭を蓄えた老人で、分厚い手袋とブーツをつけた鍛治師のような姿をしていた。
「おぉ!!見つけた!!シールの騎士!!」
老人はカレッジの前に急ブレーキをかけるように止まるとカレッジの腰に下げたブレイドをマジマジと見始めた。
まるでショーケースに飾られたほしいおもちゃを見つめる子供のようにブレイドを眺めていた。
「なんだ?このじいさんは・・・・・・」
「彼はミサハの専属鍛治師のガンラクさんです。ガンラクさん今は緊急事態なので後にしてくれませんか?」
「後ではこのオリジンシリーズが見れないではないか馬鹿者が!!」
「じいさんオリジンシリーズが珍しいのはわかるが今は倒してくれないか?」
カレッジの言葉を耳にしてガンラクはハッと我に返るとカレッジの顔を見た。
「いやーすまんすまん。鍛治師として伝説の武器を見ておきたかった物でな。少しだけでいいワシにその武器を見せてくれないか」
ガンラクの真剣な表情にカレッジは渡さないと通してくれないと思ったのか剣をガンラクの手に渡した。
「ありがたい・・・・・・ふむ、刃こぼれが全くない手入れが行き届いているな」
「そりゃあ剣は騎士の誇りだから」
「持ち主の手入れもあるがさすが伝説の鍛治師エンベルトと大魔導士ニュイが作った武器なだけあるわい」
「大魔導士ニュイ?」
カレッジが不思議そうに呟くとガンラクはカレッジに怒鳴り散らすように激昂した。
「なんじゃ貴様自分の武器のルーツも知らんのか!!このたわけが!!」
「あ、すいません」
カレッジがたじろぐとガンラクはブレイドをカレッジに手渡すと窓の外を見ながら話始めた。
「オリジンシリーズは三百年前、悪魔と悪魔が作り出した魔物を倒すために鍛治師エンベルトと大魔導士ニュイが作った武器の総称じゃ」
「悪魔と魔物・・・・・・」
「悪魔と魔物が世界を闇で包むとき、夜の闇を晴らし夜明けように希望をもたらす・・・・・・そう伝承に書いてある」
「なんでそんなこと知ってるんだじいさん?」
「わしはエンベルトの末裔じゃ。だからオリジンシリーズを超える武器を作ろうとしているが、先祖を越えられんわけじゃ」
「なるほどな」
「話はもういいですか?ガンラクさん我々は急いでおりますので」
「黙れアルファス!!だれが貴様の剣を鍛えたと思ってるんじゃ!!老人の寿命は現在進行形で失われてるんじゃぞ」
話を聞きそうにないガンラクにアルファスはため息をつくとカレッジの手を引っ張るように掴んだ。
「カレッジさん走りましょう」
「え?」
カレッジはアルファスに引っ張られて全速力で廊下を走り去った。
「あぁ!!またんか!!まだオリジンシリーズを見せてもらっておらんぞ!!」
ガンラクはカレッジ達を追いかけようとするがすぐに息を切らしてしまい追いかけることは叶わないのであった。