同胞のために剣を握る
カレッジがミサハ王国に連れて行かれて半日が経った。高く登っていた日は傾き日が西に沈みかけていた。
エメリアは一人でアルカナルに戻ってきていた。
肩を落としながら一人帰ってきたのだった。自分がカレッジに信用されていない、力になれなかったといった感情を抑えつけたような悔しそうな表情して。
一人家のドアを開けると楽しそうな声が聞こえてきた。
「アイスノック!!あんたカードすり替えたでしょ!!」
「いやすり替えてないさ。リケイルが弱すぎるだけだ」
「姉さん!!いちゃもんつけずにちゃんとしてくださいよ」
アイスノックとリケイルがテーブルでトランプで遊んでいるところをレゲンが見ていた。シオンもレゲンの横で退屈そうに頬杖をつき二人の対戦を眺めていた。
エメリアが帰ってきたことに気がつくと四人がエメリアの方を向いて笑顔をみせた。
「おかえりなさいエメリア。カレッジは?」
エメリアは四人の顔を見て抑えつけた感情が漏れ出したのかその場で泣き崩れてしまった。
「うぅ・・・・・・師匠は。私のせいで!!」
「どうしたんですか?先輩に何があったんですか?」
泣き崩れるエメリアをなだめると落ち着いたエメリアから四人はカレッジがミサハ王国の騎士に連れて行かれたことを聴いた。
「カレッジがミサハの騎士に連れて行かれた!!」
シオンが声を荒げて驚く中、アイスノック、リケイル、レゲンは眉一つ動かさなかった。
「恐らく目当てはオリジンシリーズか俺たちを一網打尽にするつもりだろう・・・・・・」
「そうですね。ミサハには一万人の騎士とそれをまとめる七人の騎士団長がいますからね。取り返すのは困難ですね」
「ならどうする?カレッジを見捨てるの?」
リケイルの投げかけに皆が頭を抱えた。四人がそれぞれ話し合う中エメリアが突然立ち上がった。
「私は師匠を助けたいです!!私のせいで師匠は連れて行かれました。だから・・・・・・私一人でも師匠を取り返しにいきます」
エメリアの言葉を聴いてシオンもエメリアに同調するように声を荒げた。
「私も助けに行く。このまま黙って見捨てるわけにはいかない!!カレッジを救い出したい」
「女性二人に行かせるわけには行かないな・・・・・・俺も行こう。同胞を見捨てるのは俺の騎士道精神に反する・・・・・・お前らはどうする?リケイル、レゲン」
アイスノックの言葉を聞くとリケイルとレゲンは顔を見合わせた。そして二人とも意見は同じだったのか首を縦に振った。
「当然助けに行きますよ。先輩のためですしね」
「レゲンくんがいくならあたしも行くわ。それに久々に血が騒ぐもの」
「よし決まりだな」
こうして元シールの騎士四人とエメリアはミサハ王国に出発するのであった。
同胞を取り返すためにそれぞれが武器を持ち戦いに赴くのであった。