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ナイトパーティー  作者: 内山スク
1章 盗賊騎士団編
7/87

騎士VS暗殺者その1

 月明かりが照らす夜。屋敷の南側の森の中に一人の男がいた。

 男は黒い服に身を包み、顔を布で覆っている。暗殺者の一人だ。

「まったく、くずくずしおって。何日待たせる気だ」

 男は文句をいいながら、夜空を見上げる。三日月の光が雲に覆われそうになっている。あと数秒で月明かりが見えなくなるだろう。

「まぁそれも今夜で終わりだ。さて・・・行くか」

 あたりが暗闇に包まれ男が屋敷に近づこうと一歩踏み出した瞬間。

 キンッと鉄がぶつかり合う音があたりに木霊する。

 カレッジが暗殺者の男の右腕にブレイドを斬りつけたのだ。しかし、男の腕は切断されておらず、むしろ傷ついてすらいない。破けた服の下には腕には鎖が巻きつけられていたからだ。

「鎖!?」

 驚くカレッジを逃さまいと暗殺者の鎖がカレッジの手首に巻きついた。

 暗殺者と距離をとり、鎖をブレイドで切断しようとするがキンッ金属音が響くだけで切断できない。

「傭兵のくせに闇討ちとは暗殺者のような戦い方だな」

 暗殺者がカレッジに近づくために一歩踏み出すと、ザクっと暗殺者の左肩が突然切れた。

「なに!?」

 先程切り付けた際にブレイドで魔力の刃を設置していたのだ。

「悪いな。元騎士だから正々堂々戦いたいが、暗殺者みたいな戦い方しかできなくてね」

 暗殺者は鎖を伸ばし警戒しているのか距離を取りつつカレッジのブレイドを凝視する。

「いやらしい武器だな。夜なら黒い剣は暗闇でみえにくくなり、明るければ光で白い剣が見えにくくなり注意がいかなくなる・・・・・・とても正々堂々とは言えんな」

 鎖に巻かれた腕をあげながらカレッジは不敵に笑った。

「それはお互い様だろ。こうやって拘束してれば居場所がバレるし暗殺は無理だろう。暗殺者の戦い方じゃないな」

 カレッジの言葉に暗殺者は目を細めた。恐らく布の下で笑っているのだろう。

「それはどうかな?」

 目の前の暗殺者の言葉が終わると同時にカレッジの背中に重い衝撃が走った。

 カレッジは後ろを振り返ると、背中から赤黒い血が滴り落ちた。

背中を刺されたのだ。しかし誰も後ろには立っていない。

 だが確かに短刀で刺されている影の中に人影がカレッジの背中に短刀を突き刺している。

 月明かりに照らされた影の中に人影があったのだ。

「クソッ!!」

 カレッジは影を突き刺したが人影は動かず、血も出てこない。ダメージは無いようだ。

「なら魔力を込めたらどうだ!!」

 カレッジは魔力の斬撃を飛ばすために白い剣を振り下ろしたが、影に変化はない。魔力が出ていない。

 カレッジはその違和感に気づき原因もすぐに理解した。

「この鎖・・・レプリカか!!」

「そうさ・・・魔封じのレプリカ。悪いな暗殺者が正々堂々戦うわけはない。さて、止めといこうか」

 鎖の暗殺者の合図に人影が再び短刀を振り上げる。

 影が短刀振り下ろそうとしたその時。

 ヒューと突風が吹いた。だが明らかに自然の突風ではない。カレッジの周りにだけ横風がきている。

「おぉぉぉ!!うわぁぁぁぁ」

 メリメリとまるでテープを剥がすが如く影が剥がれた。

 陰の中にいた暗殺者が地面落ちていた木の葉とともに吹き飛ばされそのまま木に背中を強打した。

「大丈夫ですか。師匠」

 声がするほうを振り向くとそこには風の刃を形成した剣を持ったエメラナが立っていた。

「お前なんで来た!!・・・と言いたいところだが正直助かった。ありがとな」

 鎖の暗殺者に目線を戻しつつお礼を言うとカレッジは続けて言葉を紡ぐ。

「エメラナさっきの後何回打てる?」

「あと四回が限度ですかね」

エメラナもカレッジの後ろに立ちつつ吹き飛ばされた影の暗殺者から目を離さず会話を行う。

「向こうの暗殺者は任せるが、逃げに徹しろ。影に潜ったらさっきみたいに引きずり出せ・・・いいな」

「はい」

 元気よく返事をするとエメラナは影の暗殺者に向かっていった。

 エメリアが暗闇の中に消えていくと、影の暗殺者もエメリアを追跡し始めた。

「作戦会議は終わったか?」

目の前の鎖の暗殺者が左手に針のような暗器を持ちながら、さらに後ろに下がる。

「あぁ時間が惜しいからな。すぐ決めるぞ」

 カレッジはその言葉とともに巻かれた鎖を掴むとグイっと引っ張り始めた。

「なんだと!?」

 暗殺者は左肩を切られたため重心が定まらなかったのか中に浮き、カレッジに方引き寄せられる。

 その隙をカレッジは見逃さなかった。カレッジは勢いよく踏み込むと、暗殺者との間合いを一瞬で詰めそのまま斬り裂いた。

「ぐはっ」

 鎖の暗殺者は胸から腹までに斜めに斬られ、ドス黒い血が勢いよく出てきた、あまりの衝撃に血反吐を吐くと地面に倒れた。それと同時にカレッジの腕に巻きついた鎖も緩んだ。

「さてと、もう一仕事といきますか」

 カレッジは肩を回すとエメリアを追いかけに向かったのであった。



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