王からの依頼
早朝、家にはカレッジとエメリアしかいなかった。リケイルとシオンは買い物に、レゲンとアイスノックは傭兵の仕事に行ったため今はエメリアとカレッジしかいない。
しかしそんな二人の時間も長くは続かなかった。レミアが仕事を持って来たからである。
「カレッジいるかしら。仕事よ」
突然ドアを開けて入ってきた、レミアを見てカレッジはまるで寝起きのような半開きの目でレミアを見つめた。
エメリアは突然で慣れていないのかビクッとした様子を見せたが、レミアが来たことを認識するとホッとした様子を見せた。
「ノックぐらいしてくださいよ。レミアさん」
「だって、あんたらノックしても出てくること少ないし、それより仕事の話しましょう」
レミアはそう話すと机に紙を広げ始めた。エメリアは席について広げた紙を見る。カレッジは立ったままその紙を覗き込むように見ていた。
そこには目つきの悪い無精髭を生やした男が描かれていた。山賊長カルド・リードマンと名前が書かれていた。
「ここから北東にいった町のアンバラムが山賊に襲われたらしいはそれで山賊退治してほしいって」
「・・・・・・山賊」
エメリアが険しい顔で依頼書を見つめていた。カレッジは手配書に書かれたアンバラムという町の名前を見て眉間にしわを寄せた。
「レミアさん確かアンバラムってミサハ王国の近くじゃなかったっけ?」
「そうよ。でもこのカルドがミサハの兵じゃ手に負えなくて依頼を出したってわけ」
「依頼?誰が」
「ミサハ王国国王。ティーカ・ミサハ王がね」
「じゃあこれはミサハ王からの直接の依頼になるわけか。報酬も美味しいわけだな」
「そうね早めに行ったほうがいいかもね。獲物は早い物勝ちよ」
レミアの言葉を聴くとエメリアは突然立ち上がった。握り拳を作り、なぜかやる気満々そうだった。
「行きましょう。師匠!!私たちで山賊を捕まえましょう」
「お、おう。いつになくやる気だなエメリア」
「私準備して来ます!!」
エメリアはそう話すと走って階段を駆け上がっていった。そして上から扉を勢いよく閉める音が聞こえてきた。
「やる気ねあの子。それよりカレッジなんかテンション低いけどなんかあった?」
「いや、別に何もないですよ」
カレッジの言葉を疑うようにレミアはジッとカレッジを見つめていた。嘘をついているのはバレているぞと目が語っていた。
「・・・・・・ちょっと昔の夢を見てテンション低いだけですよ。レミアさんに嘘は通じないな」
「これでも私は情報屋だし、嘘つきだからね」
「お待たせしましたぁ!!」
レミアとカレッジがそんな短い会話をしているとエメリアが部屋から戻ってきた。荷物を急いで詰め込んだであろうバッグを持って。
「じゃあ行くかエメリア」
「はい!!」
「カレッジ。くれぐれもあんたの正体がミサハ王国にバレないようにね。面倒なことになるから」
「わかってますよ」
カレッジとエメリアはアンバラムに向かって出発した。二人はこの依頼の裏に仕組まれた罠とこれから起こる大事件に巻き込まれることを知らずに・・・・・・