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ナイトパーティー  作者: 内山スク
3章 脱獄囚と腐った忠犬編
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暗躍する者たち

 セイゲンの丘にケルスは一人ぽつんと立っていた。国境を越えるカレッジたちを待っているのだがかれこれ一時間は待っている。

「いやーお待たせ」

「遅い。なにしてたの?」

 怒ったように頬を膨らますケルスにカレッジはアイスノックを指差した。

「アイスノックが武器見たいっていうからさ」

「俺のことを待っていてくれたんだねぇ。ケルスちゃーん」

 投げキッスを飛ばすアイスノックの腰には剣と短刀が挿してあった。

「じゃあ、いきますよ」

 ケルスは言葉とともにカレッジたちはセイゲンの丘の少し離れた場所にある大岩の前に案内された。

「なんだ。岩陰で準備でもするのか?」

「いえ、ここからミサハとルーラの国境を超えます」

「どういうことですか?」

 レゲンの疑問に答えを見せてやると言いたげにケルスは岩の下の地面に手をあてた。

 すると地面が溶けるように穴が開いた。

 ケルスは下に降りるとカレッジたちも続くように穴の下に降りた。

 穴の中は一直線の通路が伸びており灯りがないため目の前には暗闇が広がっており、先が見えない。人三人分ほどの道幅がある程度だ。

「この通路を通ってルーラまでいくわよ」

「なるほど。土魔法でトンネルを掘ったわけですか」

「半分正解。土魔法だけじゃあここは開けられないわ。この通路は私だけしか入り口は開けられないから」

 ケルスは蝋燭を持つとケルスを先頭に通路を歩き始めた。

 黙々と通路を歩いているが十分、二十分たっても中々出口見えない。

「ケルスちゃんはどこで魔法覚えたの?」

 沈黙を破るようにアイスノックが口を開いた。

「ルーラで習得したの。ルーラ王国は魔法王国だから、魔法を使えるものが階級が高いのよ」

「なるほど魔法も一流なわけだ」

「そんなことないですよ」

「じゃあ剣はどこで練習したのかな?」

 アイスノックの言葉を聞いてケルスは立ち止まった。後ろを振り返らないケルスの背中はどこか不気味に見えた。

「えー私剣なんて重すぎて待てませんよぉ〜。やだアイスノックさんたら」

 ケルスはくるっと振り返ると可愛らしく笑みを浮かべていた。

「そうだよねぇ。ケルスちゃんはそんな物騒な物持てないよねぇ〜」

 笑みを浮かべ終わった後蛇のように目を細めたケルスの目はどこか美しくも怪しく見えた。

 さらに三十分歩いているとようやく壁が見えてきた。ケルスが壁に触ると通路の天井に穴が開き柔らかい日差しが差し込んできた。

 地上に出ると岩山に出た。周りは岩だらけで草木すらない。先ほどまでいたセイゲンの丘とは真逆の光景だ。

 カレッジはケルスに金貨五枚を渡すとケルスはポケットに金貨を突っ込んだ。

「私はこの近くにある町。リットルで待ってるから帰りたい時はいってね」

 そう言うとケルスは走り出し、すぐに岩陰で姿が見えなくなった。

「ラゴントの塔の場所わかりますか先輩、アイスノックさん」

「ああわかる」

 レゲンの質問にアイスノックは力強く返事を返した。

「ラゴント塔は元々シール王国の領地だからな」

「日暮まで時間がない行くぞ。レゲン、アイスノック」

 日が傾く中、三人はラゴントの塔を目指して走り始めた。






 ケルスは岩山の中を歩いていた。日が落ち始め岩の影がだんだんと伸び始めている。

「どうでしたか?シールの騎士たちは」

 突然後ろから声をかけられた。しかしケルスは驚く様子もなく後ろを振り向いた。

 そこには金髪の髪に目が狐のように細い男がいた。

「感づかれましたよ。か弱い女性を危ない場所に行かせるなんて酷いですよルイ護衛騎士団長」

「外でその名前はやめてください。ケルス騎士団長さん」

 ケルスは名前を呼ばれると顔つきが変わった。先ほどまでの可愛い顔とは思えないほど、顔から気迫が伝わる。

「フフッ、任務は成し遂げますよ。またあの人たちをミサハに送ればいいですよね・・・・・・それよりハイレプリカは渡したんですか?」

「えぇ。パージさんともう一人に渡しました」

「誰に渡したんですか?」

「声無しの魔女に渡しました」

「声無しの魔女!?」

 ケルスは驚愕の声を上げると息を飲んだ。

「よく無事に渡せましたね。出会えば声を奪われると伝えられるあの魔女に」

「彼女は若い女性の声にしか興味はありません。それに彼女はルーラから出て今はミサハにいます」

 ルイは腰に挿した剣である空間のレプリカを抜くと空を切り裂いた。すると太刀筋をなぞるように空間が裂けた。

「では引き続き任務を任せましたよケルスさん。私は主人の元に行かなければなりませんから。それでは」

 ルイはそう言うと裂けた空間に入っていった。ルイが入り終えると同時に空間は穴が空いた場所に水が流れ込むように元に戻った。

「さて、私は町でゆっくりしようかな」

 ケルスは町に向けてゆっくりと歩き出した。これから起こる戦いに興味がないと言わんばかりに鼻歌を歌いながら岩山を下るのだった。

今回から土日更新にしようと思います。書きたいことが多すぎて一週間に一回ペースだと時間がかかりすぎるので。引き続き読んでくださるとモチベーションに繋がるの嬉しいです。

来週パージとの決戦です。

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