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ナイトパーティー  作者: 内山スク
3章 脱獄囚と腐った忠犬編
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待ち人来たれり

 イルマとの決闘から三日たった。パージが囚人たちと落ち合うまで後一日。

 カレッジたちはまだメリアスの町にいた。ラゴントの塔に行くのは国境を超えれば半日でつける。

 しかし二つ問題があった。一つはカレッジの傷が治りきっていないこと。そしてもう一つは国境を越える手段がないことだ。

 国境を正々堂々と正面から行っても良いがかつて敵国だった相手だ、戦場に出ていた兵士もいる可能性もある。正体がバレればミサハ王国に連行される可能性もある。

 シール王国の騎士団長が生きていてルーラ王国に亡命しようとしていると勘違いされたら、パージとの戦いどころではない。

 酒場で出会ったケルスが見つからず町を探し回っているが見つからなかった。

 カレッジの傷もレミアに治療させる手段も考えたがケルスが見つからない状態で町を出るわけにはいかなかった。

 朝からアイスノックとレゲンが町で聞き込みをする中、カレッジは宿屋のベッドで寝ていた。

 医者からは「どうしたら肩が裂けて、腹に穴が空いた状態で動けるんだ?一週間は安静にしてなさい」と言われたためである。

 カレッジが暇なのか天井を見つめていると、ガチャと扉を開ける音がした。レゲンが帰ってきたのだ。

「戻りました。先輩」

「おかえり。どうだった?」

「ダメですね。酒場の人たちもそんな女は知らないと言われるばかりですね・・・・・・やはりあの女性怪しいですね」

「どうするかなぁ・・・・・・正面突破するか?」

「国を敵に回しかねないのでやめてください」

 カレッジはヘラヘラ笑っているとレゲンが紙袋を持っていることに気づいた。

「食料買ってきてくれたのか。悪いな」

「えぇ、どうぞ」

 レゲンはそう言うとリンゴを放り投げた。カレッジは空中に舞ったリンゴを手でキャッチするとムシャムシャ食べ始めた。

「しかし、俺最近腹刺され過ぎじゃないか?アイスノックにも刺されたし。食ったもん腹の穴から出てくるわ」

「食べながら言わないでくださいよ」

 二人が話していると再びドアが開き、アイスノックが帰ってきた。

「ただいま。麗しのケルスちゃんとは今日もお茶を飲むことができなかった・・・・・・」

「お帰りなさい。アイスノックさんもやはり見つかりませんか」

「いやこいつ探してねぇて。また女遊びしてただろこいつ」

 カレッジの言葉にイラッと来たのかアイスノックはレゲンの持っている食料が入った袋からパンを取り出すとカレッジの腹の傷口に突き刺そうとした。

「ちゃんと探してたわ!!このパン腹の傷口から捩じ込んでやろうか?」

「お前!!俺は病人なんだぞ。もっと丁重に扱え!!」

 パンを腹に捩じ込もうとするアイスノックの手を止めながらカレッジが抵抗しているとガタンと部屋のドアが勢いよく開いた。

「待たせたわね。お探しのケルスちゃん登場よ!!」

 ドアの前に立っていたのは絹のように白く美しい長髪に青い目をした女性、ケルス・ミラルダだった。

「おぉ。探しましたよ麗しのケルスちゃん。早速私とお茶をしましょう」

「今までどこにいたのですか?」

 ケルスに接近しようとするアイスノックを遮るようにレゲンが間に入った。レゲンはケルスを睨みつけていた。

「国境越えたいって人がいて、ちょっとルーラまで行っていたの」

「酒場のたちは貴方を酒場では見てないし、名前を知らないと言っていましたが?それにタイミングが良すぎないですか?」

「国境を黙って越えるんだから表には言えないわよ。で、私を探してたんでしょ?国境を越えるの?」

 レゲンはカレッジと目を合わせると首を縦に振った。

「じゃあ、決まりね。準備ができたらセイゲンの丘に来てね」

「また、あそこか」

 カレッジの言葉にニコッとケルスは笑うと部屋からそそくさと出ていった。アイスノックと関わるのがいやだんだろうか。

「その前にお茶をしましょう。ケルスさーん」

 アイスノックはボールを追いかける飼い犬のようにケルスを追いかけ部屋から出ていった。

「先輩はどうしますか?その傷じゃあ戦えないでしょう」

「・・・・・・行くさ。パージは俺とアイスノックがご指名みたいだしな。ここにいてもいずれパージと戦うことになるしな」

二人が真剣な顔つきで話しているとアイスノックが頭を掻きながら帰ってきた。どうやらケルスはうまくアイスノックを撒いたらしい。

「ケルスさん逃げ足早いなぁ全く」

「アイスノックさんはケルスさんのことどう思いますか?」

「美しい女性だと思っているが?」

 アイスノックの返答にレゲンは顔を手で押さえた。

「言葉が足りませんでした・・・・・・怪しいと思いませんか?」

「あぁ。恐らく彼女は相当手練れの剣士だな。酒場で手を握った時、手に豆があった。あれは剣を相当振ってないとできないな」

「それでも彼女の話に乗りますか?」

「現状俺たちはラゴントの塔に行き、ミサハに帰るまで、彼女の言うことを聞くしかないしな」

「そうだな。じゃあ行くか二人ともセイゲンの丘に」

 そう言うとカレッジはベッドから起き上がった。左肩と腹には包帯が巻かれているが、それを隠すように服を着るとブレイドを腰に挿した。

 三人はケルスが待つセイゲンの丘に向かうのであった。

今回時間が間に合わず申し訳ありません。リアルの事情です。

明日も投稿するのでお楽しみに。

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