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ナイトパーティー  作者: 内山スク
3章 脱獄囚と腐った忠犬編
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三人男旅と良い女の話

 セイゲンの丘の近くにある町メリアス。この町はミサハ王国に属している町であるが国の国境が一番近い町でもある。

 シール王国が滅亡したあとシール王国の領土は南側に位置するミサハ王国と北側に位置するルーラ王国に領土は奪われた。

 国同士は現在停戦状態にあるが国境には城壁が築かれ通行するには王国の兵士の検閲をくぐり通行料を払う必要がある。

 メリアスの町のある酒場にシール王国の元騎士である男たちが酒を飲みながら話し合っていた。

「ついに明日イルマとの決闘だが・・・なんでこんな国境近くでやるんだ?」

 艶やかな銀髪に白と黒の剣を腰に挿した男、カレッジ・スペードが酒を飲みながら話を切り出した。

「パージさんとの集合場所が近いのかもしれません。メリアスは元々シール王国の領土の近隣にある町ですから」

 茶髪のふんわりとした髪に右腕に青いバンダナを巻いた男性。レゲン・ロックダイスがカレッジに返事を返した。

「カレッジ・・・お前が負けたら俺があの爺さんと勝負するから負けても心配すんな。骨は拾ってやる」

 黒髪のオールバックをした赤目の男。シースルー・アイスノックがカレッジをちゃかすように言葉を投げかける。

「負けるとわかって勝負に出るわけないだろ。アイスノック、お前の番は回ってこねぇよ」

 アイスノックの言葉に反論しつつもカレッジはツマミのチーズを食べそれを酒で喉の奥に流し込む。

 三人がエメリアと別れて二日が経った。セイゲンの丘での決闘まであと一日。カレッジたちはイルマとの決闘を待ちつつもパージとの戦いに備えていた。

「しかし姉さんとエメリアさんたちは大丈夫でしょうか?」

「リケイルなら朝は動かないし、夕方なら敵が来ても確実に倒すだろうあいつなら・・・・・・エメリアは心配だ」

 表情を曇らせてうつむくカレッジを見向きもせずアイスノックは目を輝かせていた。

「か弱き女性たちの側にいられないとは・・・あぁ側で守ってあげられなくて残念だ」

「人の姉にちょっかい出そうとするのはやめてくださいアイスノックさん!!」

 酒を飲んだ影響か陽気に三人が喋っていると「お兄さんたち楽しそうねぇー」と女性の声がしてきた。

 声の方を振り向くと絹のように美しい長い白髪に、サファイアのように青い瞳、鳥の歌声のように可愛くも美しい声がする女性が話しかけてきた。

「何かご用ですか?」

「なんと美しい女性だ!!ぜひ私と飲みましょう」

 レゲンが用件を聞く前に言葉を遮りアイスノックが割り込むと女性の手を優しく握った。

「いやぁ、楽しそうに話してるなと思って。剣を持ってるってことはお兄さんたち傭兵かしらぁ?」

 女性の目線が机の横に立てかけたブレイドとクリスタルに向いた。

「僕たちが傭兵だとわかって話しかけてきたんでしょう?用件はなんですか」

「レゲン。せっかく麗しき女性が話しかけてきてくれたんだ。そうあしらうなよ」

「アイスノックさん。話が進まないので黙っててください」

 不満そうな顔をしつつアイスノックは女性から手を離すと女性はコホンと咳払いすると小さな声でカレッジたちに聞こえるように話し始めた。

「最近カラトナ要塞から脱獄囚がでたから国境の警備が厳しくなってるの。私はその警備をスルーできる抜け穴をこの酒場に集まった傭兵に教えてあげてるわけ」

「へぇーでもお高いんでしょう?」

 カレッジが笑いながら冗談混じりに言葉を投げかけると女性は両手の指を全て立ててカレッジたちに見せつけた。

「なんと通行料が金貨十枚のところ金貨五枚で引き受けてあげるわ!!」

 女性が自信満々に胸を張ってドヤ顔でカレッジたちにアピールした。恐らくカレッジたちが国境を超えて仕事に行くとでも思ったのだろう。

「先輩、からかったら悪いですよ。残念ながら僕たちは国境を越えるつもりはありません」

「えぇー!!なんだ残念」

 落胆して肩を落とす女性を見てニヤニヤとカレッジは笑っていた。

「ハァ・・・そうなんだ。昨日も無口な弓をもった女の人をルーラからミサハの国境に通したから、てっきりお兄さんたちもそうだと思ったんだけどなぁ」

 女性の言葉を聞くと三人は眉間にしわを寄せた。三人とも同じ人物に心当たりがあるようなそんな表情をしていた。

「失礼。その女性は白い鳥が翼を広げたような首飾りをかけていて、緑の目をした長髪の黒髪でしたか?」

「えぇ、確かにそんな首飾りしてたわ。髪は短かっけど喋らないから紙で書いた文字で意思疎通してたけど」

 女性の言葉を聞いて三人は顔を見合わせると三人とも頷いた。どうやら心当たりのある人物だったようだ。

「知り合いなの?」

「えぇ古い友人でして」

 女性の言葉にやわらかい笑顔でレゲンが返すとアイスノックが再び二人の間に割り込んできた。

「麗しき女神よ。あなたのお名前を聞いていなかった。ぜひ後日お茶でも」

 女性はアイスノックを見ながら若干顔を引きつらせつつも無理に笑顔をつくるがアイスノックの圧に耐えられず一歩後ろに下がった。

「わ、私の名前はケルス・ミラルダ。お茶は機会があったらにしようかしらぁ」

 女性は名乗ると「じゃあ」と手を振って逃げるようにそそくさと去っていた。アイスノックの圧に負けたのだ。

「後日ケルスさんとお茶をする時間を作らなければ」

「お前がいると女性避けにいいよ本当」

 アイスノックが席に座ると三人は再び酒を飲みながらつまみを食べ始めた。

「さっきの弓を持った女性の話恐らく・・・彼女ですよね先輩」

「あぁ、恐らくシオンも近くに来ている」

 三人は酒場で食事をすませると宿に帰るのであった。

余談となりますがアイスノックのナンパ癖は師匠であるパージの教えです。

パージ「女性を守るのが騎士の役目。女性がいたらまずお近づきになれ」

見習い時代からこの教えを聴き守っているためアイスノックは戦場でも女性がいればナンパしてました。

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