カレッジ先生の魔法授業
昼過ぎ隠れ家の裏庭でエメリアは魔法についてカレッジに教わっていた。
裏庭には大きな木が植えられており、葉の間から木漏れ日が照りつける。
「はい、先生魔法ってなんですか?」
エメリアが元気良く手を上げてカレッジに質問した。
「先生じゃない。師匠と呼べ」
「はい。師匠魔法ってなんですか?」
「よろしい教えてあげよう」
カレッジは落ちていた木の棒で地面にそれぞれの魔法と特徴を文字と絵で描き始めた。
火魔法は火を出すだけでなく、身体強化が行える。
風魔法は突風や自身を浮かせるだけでなく、風の膜を広げて周りの生物を探知できる。
土魔法は土で盾などの造形物を作れる。また自身を硬化させることができる。
水魔法は魔力でできた水を操ることができ、相手に幻覚をかけることができる。
「まずは魔力量をあげる。訓練からだな」
「魔力量ってどうあげるの?」
首を傾げるエメリアにカレッジは剣の柄を差し出した。
刀身はなく、まるでおもちゃだ。
「何これ。おもちゃじゃない」
「これだけならな。まぁ見てろ」
カレッジは柄を強く握ると刀身の部分から炎が吹き出した。
ただ炎が出ているだけではない。炎の形は刀身の形になり、まるで炎の剣になったようだった。
「おぉ」
茫然とするエメリアをよそにカレッジは刀身の炎を消すとグリップの部分を向けてエメリアに差し出した。
「今のを一時間キープしろ。ちゃんと形も刀身のようにしてな」
「よーし」
エメリアが気合を入れて魔力を込める。
風が刀身部分に吹き出すがすぐに散って消えてしまった。
「これ難しい。本当にできるの?」
「最初はな。それにこのブレイドは魔力を使うんだ。この特訓は必須だし。その剣はこれからお前の武器になる」
「武器?」
再び首を傾げるエメリアの手から渡した柄をとると空中にくるくると飛ばしながら説明し始めた。
「刀身に魔法の刃をつけるということはそれで相手に攻撃できるということだ。風なら吹き飛ばしたりとかな。それに刀身がなければ相手を油断させることもできるだろ」
「なるほど」
感心するエメリアに再び柄を手渡すとカレッジは家にエメリアに背を向け家のドアを開けた。
「それが終わったら風の感知能力の修行だ・・・悪いがこの武器は簡単には渡せんぞ」
カレッジは笑いながら腰のブレイドをポンポンと叩くと家の中に戻って行った。
エメリアは本当にできるようになるのかと不安に思いながらも刀身を形成しようと一生懸命に修行を行うのであった。