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ナイトパーティー  作者: 内山スク
3章 脱獄囚と腐った忠犬編
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衝撃の再会

 建物の屋根の上レゲンとイルマは激しく剣をぶつかり合い斬り合っていた。

 実力は拮抗しており、両者共に決め手に欠ける。そんな印象を受ける。

 イルマはサーベルを大きく払いレゲンの重心を崩した。

「くっ!?」 

 重心を崩されたためか、レゲンは屋根から足を滑らせ大きく体制を崩した。

「もらった!!」

 イルマはその隙を待っていたとばかりにサーベルをレゲンの首元目掛けて振り下ろした。

 キンっという音だけがあたりに響いた。

 イルマのサーベルが手元から離れ地面に落ちていく。

 レゲンに当たる前にサーベルが何かに当たったように弾かれたのだ。当然レゲンは無傷だ。

 イルマは衝撃を感じた方向を見るとそこには白い剣を下ろしたカレッジが立っていた。斬撃を飛ばしてサーベルを弾いたのだ。

「横槍を入れるとは無粋な」

「かわいい後輩を殺されると困るんだよ。そいつの姉ちゃんに俺が殺されちゃうからね」

 イルマは不満そうな表情でしばらく黙り込んだ。

「興醒めだ・・・戦いは預けさせてもらうぞ。レゲン・ロックダイス」

 イルマは屋根から飛び降り、落ちたサーベルを拾うとそのまま路地裏に入り走り出して行った。

 カレッジはイルマがいなくなったことを確認するとレゲンに駆け寄った。

「大丈夫か?レゲン」

「えぇまぁ・・・ですが手出しは無用でした。あのまま殺されても僕は後悔はありませんでしたよ」

 レゲンは真剣勝負を邪魔されて怒っているのかムスッとした表情をカレッジに向けた。

「悪かったよ。目の前で仲間が殺されるのを黙って見てられるほど俺は残酷にはなれなくてな」

 レゲンはカレッジの言葉を聞いても納得していないのか拗ねたように眉間にしわをよせた。

カレッジはレゲンに手を貸し、地面に着地すると住民たちが集まっていた。街で暴れすぎたため集まってきたのだろう。

 群衆の中を掻き分けヒョコっと一人の少女が飛び出してきた。水色の髪をたなびかせたエメリアだ。

「師匠たち見つけました。もうどこ行ってたんですか?」

「ちょっとした運動をな」

「それより移動しましょう。ここは目立ちます」

 群衆の波を掻き分けカレッジたちは急いでその場から立ち去るのであった。





 レゲンを担いで街の中央地にある噴水の前まで来ていた。

 そろそろ正午になるためアイスノックと合流するために噴水に腰掛け待っていた。

「レゲンさん傷は大丈夫ですか?」

「えぇ痛みますが、止血はしたので問題ないです」

 レゲンはクリスタルで止血した傷口を見ながらエメリアに力なく笑った表情を見せた。

「しかし、遅いなアイスノックのやつ何してるんだ」

 三人が噴水の前で待っていると黒髪のオールバック、赤い目をした男が歩いてきた。顔中にキスマークをつけながら。

「いやーおまたせ。レディたちが俺を離してくれなくてね」

「てめぇ!!遊んでじゃねぇよ!!」

「遊んでないって。ちゃんと情報収集したってこの街に手配書のやつが何人かいることも集めたって・・・ん?なんでレゲン傷だらけなんだ?」

「その囚人と戦ってたからだよ!!」

 マイペースすぎるアイスノックにカレッジは声を荒げるがアイスノックは意に返していない。

「いいなぁお前ら俺も戦いたかったなぁ」

「それはちょうど良かった。見つけたぞシースルー」

 後ろから声がしたため、四人が振り返るとフルフェイスの甲冑を被った男が立っていた。片手に剣を持ちもう片方の手には唐草模様が刀身にまで入った短刀を持っている。

「その声・・・まさか」

「パージさん?」

 アイスノックが言葉を出し終える前にエメリアが男の名前を口に出した。

 その名前を聞いて三人が驚いた表情でエメリアを見た。

「パージだと!?」

「本当にパージさんなんですか?」

 狼狽えるカレッジとレゲンを見てエメリアは状況を飲み込まず二人見つめる。

「え、誰なんですか?」

「俺の・・・俺の先代のメタモルフィアの使い手でシール王国の騎士であり・・・俺の師匠だった男だ」

 絞り出すように言葉を吐いたアイスノックの顔は先程までマイペースに話していた男とは思えないほど真剣な表情をしていた。

「囚人たちではお前らを仕留められなかったようだな、まぁいい。カレッジ、シースルーお前らだけはこの手で殺したいと思っていた。シールの滅びた元凶よ」

 ダンっとパージは地面を蹴るとそこには焼けこげた足跡しか残っていなかった。

 パージは一瞬で移動しアイスノックの前に立っていた。そして剣でアイスノックの左手を斬りつけた。

 キンっという音が響いた。左手は斬り落とされず遅れてアイスノックはパージを左手で殴り飛ばした。

 パージは片手でアイスノックの拳をガードするが勢いを殺しきれず後方へ吹き飛ばされた。

 斬られたアイスノックの手袋のしたから透き通った朱色の物体が露出する。

「左手を失っていたか。片手を奪うつもりだったのだがな」

 アイスノックは拳を握り、カレッジも両手に剣を持ち戦闘体制に入った。

 レゲンは痛みから体が動けないのか立ち上がれなかったどころか剣すら抜けなかった。

「エメリア。レゲンを連れて行けるか?」

「大丈夫です。師匠たちは?」

「俺はここでアイスノックとパージの相手をする。いいだろアイスノック?」

 カレッジの問いにアイスノックは冷や汗を流しながらパージを見据えていた。

「正直に話すと俺の騎士道精神的にサシでやりたいが・・・殺気のある師匠を一人で抑え切れんしな」

 エメリアはレゲンの腕を肩に乗せて担ぐと市場の方向に走って行った。

「悪ガキどもが・・・・・・覚悟はいいな?」

 カレッジとレゲンは息を飲んだ。あたりの空気をピリつかせるようなパージの殺気をヒシヒシと肌で感じていたからだ。

 カレッジは白い剣を大きく振るとブレイドの斬撃を飛ばした。

 それを見えているかのようにパージはかわすとカレッジとアイスノック目掛けて突進してきた。

 パージはカレッジ目掛けて剣を大きく振るった。カレッジは二本のブレイドでガードしたがそのまま体を大きく浮かばせながら吹き飛ばされ噴水の中に落ちた。

「メタモルフィア解放!!」

 アイスノックの言葉ともにアイスノックの左手から朱色の液体が一瞬でアイスノックを包み込み朱色の鎧を形成した。

 しかし、パージは短刀をアイスノックに突き立てず、鎧の胸元の前で止めた。

「・・・衝撃のレプリカ」

 パージが呟くとドンっとという音が短刀の切先からアイスノックの中に響いた。

「ガハッ!?」

 アイスノックは体に響いた衝撃に思わず膝から崩れ落ちた。

「愚かな弟子だ。メタモルフィアの弱点など俺が一番知っているわ」

 甲冑の中から見えるパージの目は失望したようかのように冷たい目でアイスノックを見下していた。

設定としてオリジンシリーズは本当の使い方を知らない相手にはきちんと説明しないと解放は使えません。知ってる相手には説明不要です。


今回から一週間に一回の投稿になります。Xにアカウントも作ったのでフォローしていただければ更新がすぐわかりますのでなにとぞよろしくお願いします。

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