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ナイトパーティー  作者: 内山スク
3章 脱獄囚と腐った忠犬編
36/97

レプリカの代償

 建物の屋根の上。レゲンとイルマは激しく剣を打ち合いながら斬りあっていた。

 レゲンの体から斬り傷や刺し傷で血が体から滴り落ちている。

 一方でイルマの体も背中や肩、腹から血が固まった結晶が出ていた。

 お互い息を切らしており、戦いが長く続かないことを示唆していた。

「ハァハァ・・・老人の身体能力じゃないですね。土魔法で硬化しても貫通してくるとは、それに僕と互角とは」

「ハァハァ・・・さすがシールの騎士。だが私は血を流さないが、貴様は血を流し体力も残り少ない。このままやっても私が勝つぞ」

「それはどうでしょうね」

 レゲンはニヤリと笑みをこぼすとクリスタルの刀身に手を当てた。

「貴方にクリスタルの本当の使い方を見せてあげましょう」

 レゲンはクリスタルの刀身を引っ掻くように爪を立てるとあたりを冷たい空気が包み込んだ。

 まるで氷の中にいるようでもあり、空気そのものが凍てついているかのようなそんな感覚に襲われる。

「やっと・・・本気を出すのか」

「本気?勝負は一瞬で終わりますよ」

 レゲンの手がクリスタルの刀身から動かそうとしたその時。

「ま、待った。レゲンちょっと待て!!」

 下から声がしたため、屋根の上から地上見下ろすとそこにはカレッジとロアルが戦っていた。

 カレッジはロアルの攻撃を躱しつつも焦ったような表情でレゲンに呼びかける。

「こんな街中でクリスタルを解放するな!!俺も住民も巻き添えになるぞ」

 カレッジの言葉にレゲンはしばらく黙り込むとそっとクリスタルの刀身から手を離した。

「・・・・・・わかりました。すいませんねお爺さん本気は出さずにお相手しましょう」

「舐められたものだな。巻き添えを恐れて力を出さないとは」

 再び斬り合いを始めるレゲンたち、その下の路地ではカレッジとロアルとの戦闘が行われていた。

「矢が飛んでこないな。狙撃手が狙えない位置に来たか」

「ギアルスめ。逃げたか、やられたか・・・まぁどちらでもいいか」

 ロアルは粉砕のレプリカを地面に力一杯叩きつけた。轟音があたりに響き渡ると同時に地面のタイルが割れ、周りに勢いよく飛び散った。

 タイルの破片は勢いよくカレッジに飛んでいった。

「くっ!!」

 カレッジが破片を防ぐために腕で顔をガードしたが弓から放たれた矢のように飛んでいく破片の勢いで後ろに吹き飛ばされ勢いよく壁に背中を打ちつけた。

「痛って」

 目の前を見るとロアルが粉砕のレプリカを振り上げていた。そしてカレッジ目掛けて粉砕のレプリカを振り下ろした。

「フンッ!!」

カレッジは間一髪のところで粉砕のレプリカをかわしたが建物の外壁はクッキーを砕いたようにバラバラに崩れ落ちた。

「あ、危なかった」

 カレッジが冷や汗をかいているとロアルが突然苦しみ出した。

「うぁぁ・・・なんだ胸が苦しい。呼吸も・・・目がクラクラする」

  そのままロアルは倒れ込むと苦しそうに胸を抑え始めた。

「うぁぁぁぁ・・・・・・」

 痙攣したあと、ピクリともせず動かなくなった。

「レプリカで寿命を使いすぎたな。代償を顧みずレプリカを使い続けた物の末路か」

 カレッジは火魔法で身体能力を強化し屋根の上に登るとレゲンを追いかけるのであった。


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