みんなは一人のために
家に帰ると元気になったレゲンとエメリアたちが出迎えた。リケイルはブルートランスを使った影響か貧血のためか部屋のベッドで倒れるように寝てしまった。
「なんで、呪印をつけられたことを言わなかった?」
カレッジとレゲンは椅子に腰掛けリビングで話していた。
日が窓から入り暖かい日差しが部屋の中にさしこむ。
「・・・できることなら自分で解決したかったからです。先輩や姉さんの力を借りずに自分でケジメをつけたかった」
レゲンは子供のように顔を伏せて落ち込むが、カレッジはため息を吐いた。
「俺たちは別に迷惑だと思わないさ。一人じゃできないなら、力を合わせればいいだ。そうだろう?」
カレッジは優しく笑うとレゲンの曇った表情も晴れたように少し笑った。
「ふ、そうですね」
「ついでに、俺も話しておかなくちゃ行けないことがある。吸血鬼と戦った時に俺が戦った相手が師匠を殺したレプリカを使っていた」
「あの剣聖パワス・ヒートハートを殺したレプリカですか・・・それはレプリカを倒して奪ったのでしょうか?」
「倒したのか、偶然手に入れたかはわからんがあいつは使いこなしていた。また会うことになるかもな」
「ぜひ、僕も手合わせしたいものですね」
二人が話している、ゆっくりとドアが開いた。
まぶたが重いのか全く目が開いていない、怠そうな顔をしたリケイルだった。
「あうーレゲンくん・・・お姉ちゃん疲れた。膝枕して〜」
リケイルはフラフラと今にも転びそうな足取りで部屋に入っていく。
ブルートランスに血を吸われたためか、顔色も青白くあまり体調がよくないなことが一目でわかる。
レゲンは膝をポンポンとするとリケイルは猫のようにレゲンの膝に頭を乗せた。
「珍しいな、お前がリケイルの要望に素直に答えるとは」
「姉さんを心配させてしまいましたし、感謝のしるしでこれぐらいはしませんとね」
「そういえばレゲンが前話していた架空の生物は存在するのかって話だが」
「あれはただの雑談ですよ。忘れてくださいと言ったはずですよ」
「いや今回の事件を体験してわかった。実在するやつはいる」
「フッ、なんですかその答えは」
レゲンはリケイルを膝の上で眠られせながら彼女が起きるまでカレッジと雑談を続けるのであった。
雑談の内容は架空の生物について、お互い本の知識や自身が体験したことを出し合いながら。
子供のように時にははしゃぎ、時には論争になりながらも楽しく語り合うのであった。