空間のレプリカ
もうすぐ月が沈み、日が登ろうとしている山の中。
剣を打ち合う音が響き渡っていた。
カレッジとルイはお互いに剣を打ちつけあう。
カレッジはまるで舞うように剣をルイに叩き込むが、ルイはその剣を軽くいなしていく。
だがルイが剣を振るう際どうも様子がおかしい。まるで使い慣れていないのかこちらに受けてばかりで反撃してこない。
「お前いい加減に本気を出したらどうだ」
カレッジは鍔迫り合いしつつルイに問いかけた。
「何のことかわかりませんね」
「お前さっきから剣の運びが大剣を使い慣れてるとは思えないんだよ」
ルイは剣を弾き返すと、カレッジと距離を取った。
「さすがですね。よく観察している」
その時ドォンと地響きと似たような轟音と振動があたりに響いた。
「あっちも派手にやってるな。知ってるか・・・オリジンシリーズはその昔、魔物を倒すために作られたそうだ。お前の相方ようなバケモノを倒すにはピッタリだな」
「ビジネスパートナーですがね。私には主人がいますので」
ルイはそう話すと刀身と柄の部分を触ると何か金具を外すようなカチャという音がした。
「では私そろそろ本気をお出ししましょう」
ルイは大剣から持ち手を引き抜くと大剣の刀身が鞘のように抜け中からロングソードが出てきた。
ロングソードは茨のような金色紋様が刀身にまで伸びたような見た目をしていた。
その剣を見てカレッジは目を見開いた。中からロングソードが出てきたからではない。
その剣に見覚えがあったからだ。
「お前・・・その剣どこで手に入れた!!」
「五年ほど前に戦利品として頂きました。この空間のレプリカに見覚えが?」
「そいつは・・・・・・俺の師匠を殺したレプリカだ!!」
「それはそれは、運命とは不思議なものですねぇ」
カレッジはルイに向かって白い剣を振り斬撃を飛ばした。
しかし、ルイはその場から動かずただロングソードを前にかざした。
すると空間にポッカリと穴が開いた。まるで地面が陥没したように空間が歪むと斬撃を飲み込んだ。
「やはり斬撃を飲み込んだか。五年前と同じだ」
「ではお言葉に甘えて本気でいきましょうか」
朝焼けの光に照らされながら二人が剣を構える
二人の間に緊張感が走ったその時。
突然女性の断末魔が聞こえてきた。
ラキュラスがリケイルに殺されたのだ。
「・・・どうやらラキュラス様は負けたようですね。勝負はお預けですね・・・ではまた」
「待て逃げる気か」
「ラキュラス様が亡くなられた以上戦う理由はありません。貴方も同じでしょう?」
そう言うとルイは空間のレプリカで空を斬ると空間が裂けるように捻じ曲がった。
「ではまたお会いしましょう」
その中にルイは入っていくと空間の歪みはまるで初めから何もなかったように元に戻った。
「あの狐男何者なんだ?」
その後カレッジはリケイルノ元に戻り倒れているリケイルを発見した。
リケイルに肩を貸しながら家に帰るのであった。