血を血で洗う戦い
リケイルとラキュラスはお互いに睨み合っていた。
お互い攻めるタイミングを測ってからだ。
リケイルはラキュラスはブルートランスを構えるとラキュラスめがけて突進した。
ラキュラスはランスを闘牛士が布を使ってかわすようにヒラリと避けた。
リケイルは振り向くと同時にブルートランスを大きく振り払った。しかしランスの勢いは減速し、ラキュラスには避けられた。
風魔法でブルートランスの勢いを殺し減速させたのだ。
リケイルは反撃のスキを与えないようにブルートランスで連続突きを浴びせた。
ラキュラスはその連続突き出すら、紙一重で避けてみせた。
「貴方は私に勝てない。私は呪印をつけて逃げれば勝ち。あなたはその槍で刺せば勝てるけど私には当てられない」
リケイルは無表情にただブルートランスを構える。
「貴方のスタミナもいつまで待つかしら?若さとは素晴らしいと思わない?私は五十歳だけれど若ささえあればなんでもできるもの」
するとラキュラスはポケットから赤い小石のような宝石を取り出した。
「ならさらにダメ押しといきましょう。このハイレプリカで」
ラキュラスはハイレプリカを飲み込んだ。
苦しみの声を上げながら、背中からコウモリのような翼が生え、牙が鋭く伸びる。爪も獣のように長く伸びた。肌がさらに青白くなり月明かりに照らされて怪しく輝く。
その姿はまさに吸血鬼というにふさわしい姿になった。
「さぁ、攻守逆転といきましょう」
次の瞬間、リケイルの肩がパックリと切り裂かれ赤い真紅の血が吹き出した。
ラキュラスが視認できないほどのスピードで切り裂いたのだ。
ラキュラスは生えてきたコウモリのような翼で羽ばたき空中に移動していた。
「アハッハハハハハ!!素晴らしいわハイレプリカ!!力がみなぎってくる」
ラキュラスは夜空をご機嫌に飛び回りながら狂ったように雄叫びを上げる。
リケイルは肩を抑えつつ、ラキュラスから目を離さないように上空を見上げる。
「私を倒すことは不可能。貴方の勝ち筋はなくなった」
「それはどうかしらね」
空中から見下すラキュラスにリケイルは不敵に笑みを浮かべていた。
「貴方にブルートランスの本当の使い方を見せてあげるわ」
リケイルはそう話すとブルートランスを天に掲げた。
「ブルートランスの本当の使い方は、ブルートランスに本来の食べ物を教えること」
ブルートランスから黒い触手のようなものがリケイルの腕に絡みついていく。
「あたしを食べていいわよ、ブルートランス・・・だから力を貸しなさい」
ブルートランスそのものが一つの生き物の心臓のように鼓動し始め、その鼓動が段々と加速していく。
「ブルートランス解放!!!」