一騎討ち
木々が生い茂る山奥。
そこには青白い肌に長い髪、十代半ばにみえる女がいた。ラキュラスだ。
そしてもう一人ラキュラスと話す男性がいた。
金髪の髪に糸目、大剣を腰に下げた。どこか優しげに見えあやしくも見えるそんな笑みを浮かべている。
「確かに契約通り、生命力はいただきました。これが報酬のハイレプリカです」
糸目の男はラキュラスに赤い小石サイズの宝石を手渡す。
「これが本当にハイレプリカなんでしょうね?三世代に渡って生命力を吸った町を手放したんだから偽物だったら承知しないわよ」
「ご安心ください。我が主人は約束は破られぬお方・・・そのハイレプリカは寿命を使わないレプリカですゆえ、あなた様のお力になることでしょう」
「ならいいどね・・・それにしても私が集めた生命力半分と交換とはあなたの主人も若さがほしいのかしら」
金髪の男はクスッとあやしい笑みを浮かべた。
「詮索はおやめください。焦らなくてもあなたも会う時が来ますから」
金髪の男とラキュラスが話しているとカレッジとリケイルが森の奥からやってきた。
エメリアが探知した山の中で探し回りようやく二人を発見したのだ。
「いたな。おそらく奴らだろう・・・どっちが吸血鬼だ?」
「試してみれば」
カレッジはリケイルに言われると手を突き出し、火の玉を金髪の男とラキュラスに放った。
金髪の男とラキュラスは火の玉の明かりに気づきリケイルとカレッジの存在に気がついた。
金髪の男は大剣を振り、掻き消すように火の玉を撃ち落とした。
ラキュラスは避けようともせず、手のひらを目の前に出すと火の玉は飲み込まれるように手の中に消えていった。
「魔力を吸収できるのか、恐らくあいつが吸血鬼だろう」
「いきなり、ずいぶんなあいさつね・・・」
ラキュラスはうすら笑みを浮かべる。金髪の男も大剣を構えつつ、怪しく笑った。
「どうやら、お客様のようですね。お手伝いしましょうか?」
「えぇ頼める。できれば私はあの女とやりたいわね。女のほうが生命力が高いのよ」
リケイルはブルートランスを構えるとラキュラスに向けた。
「カレッジあの金髪の狐男任せたわ」
「了解」
「あと私があの女を仕留めきれなかったら・・・あなたがあの女を倒して」
「それはいらない心配だ。リケイルお前なら勝てるさ」
「・・・・・・それもそうね。じゃあよろしく頼むわね」
カレッジはブレイドを抜くと、火魔法の瞬間強化で一瞬のうちに金髪の男に近づいた。
そして、素早く連撃を叩き込む。金髪の男は笑みを浮かべながらも、大剣で受け流す。
しかし、カレッジの激しい斬撃は金髪の男を森の奥を押し切っていく。
そしてカレッジは二本の剣に思いっきり力を込めると金髪の男を大きく吹き飛ばした。
金髪の男は足に力を入れ宙に吹き飛ばされないように踏ん張ると怪しい笑みを崩さずにカレッジに向けた。
「これでサシでやれるな」
「私をご指名でしたか。それでは自己紹介をしなければ。ルイ・フォクトリアスと申します。お見知り置きを」
「元シール王国騎士団長カレッジ・スペード。しばらく付き合ってもらうぜ。狐男!!」
夜の森の中、二人の斬り合う音が森中に響き渡った。
そしてその頃、二人の女の戦いが始まっていた。