これ以上奪わせはしない
フリーメの元から帰って一週間がたった。あれからリケイルはレミアの元へ通い詰めている。
カレッジとエメリアも仕事を終え家に帰っきた。
「ただいま」
カレッジはドアを開けると一番に目に入ったのは誰かが倒れているということだった。
見覚えのあるシルエットだった、レゲンが倒れていたのだ。
「どうしたんだ!?レゲン」
「レゲンさん大丈夫ですか?」
レゲンの顔は青白く冷たい。静かに目を閉じ呼吸も浅く死にかけている。とても話ができる状態に見えない。
「私レミアさんを呼んできます」
「たのんだ!!」
カレッジはレゲンを担ぎベッドに寝かせるのであった。
エメリアが家を飛び出し、レミアを呼んできた。
レミアの家にいたのかリケイルも一緒に来ていた。
「わからないわね。こんな病気は初めてだし臓器やバイタルも異常はない。まるで命を蝕まれているよう・・・」
「まさか!?」
カレッジはレゲンの右腕をまくるとそこには町やフリーメと同じように英語のHのような呪印がついていた。
「レゲンもつけられていたのか・・・」
「決まりね・・・吸血鬼をぶっ殺しにいくわよ」
静かに怒りを爆発させるリケイルをレミアが呼び止める。
「待って、場所がわからないのにどうやって倒しにいくの?」
「じゃあ、どうすればいいのよ!!!」
リケイルは感情をぶつけるように壁を思いっきり、拳を打ち付ける。
バンッという大きな音がただむなしく部屋中に響き渡る。
「私・・・風の探知魔法で探してみます」
「無理だエメリア、近くにいるからともかく居場所も顔もわからないのに探知してもしかたない」
「この呪印に風魔法を流して探してみるんです。生命力を吸い取っているなら流れを追えるはず」
エメリアはレゲンの呪印に手を当てると目を瞑り風魔法を発動した。
エメリアは呪印に魔力を込める。
そしてしばらくするとパッと目を開けた。
「わかりました。ここから三時の方角の山の中にいます」
「そこまでわかれば十分だ。よくやったなエメリア」
リケイルはドアを勢いよく開けるとカレッジを見る。
「カレッジ・・・私と吸血鬼がサシでやれるように誰かいたら相手を頼める」
「・・・わかった。エメリアはレミアと残ってレゲンを守っていてくれ」
「わかりました。気をつけて師匠、リケイルさん」
レゲンの意識はなく、呼吸も浅い明日まで持たないかもしれない。
二人は深夜の暗闇の中エメリアが探知した方角と場所を頼りに馬に乗り出発した。