伝説の生物は存在するのか
若さ故の過ちと言うのなら 何度でも私は過ちを繰り返そう
ミサハ王国に属する街アルカナル。仕事終わりの住民が酒や博打に夢中になっている夜の街並み。
そんな街中の賑わいとは裏腹に二人の男が静かに夜の街を歩いていた。
一人の銀髪の男は滅びた王国の元騎士団長であり名はカレッジ・スペード、しかし男の姿は奇妙であった、上半身にはひし形のペンダントのみで上裸でパンツ一丁である。
片手にかつてシール王国に所属していた際の愛刀、オリジンシリーズに属する武器である二本の白と黒の剣ブレイドを持っていた。
「ヘックシ!!」
カレッジが大きなくしゃみをする。夜中にパンツ一丁で歩いているのだから当然だろう。
カレッジの体には戦いを生き抜いた勲章というような切り傷や矢傷が体中に痛々しく残っている。
しかし、剣を持ちパンツ一丁で歩いている姿は通報されても文句の言えない変態である。
「賭け事に全財産突っ込むからそうなるんですよ」
もう一人の男はレゲン・ロックダイス。この男も元シール王国の騎士団長であり、水晶のように美しい剣を持ち、きっちりとセットされた茶髪に青いボロボロの布を右腕に巻いている。
レゲンは夜まで帰ってこないカレッジを迎えに来たのだった。
そして賭博場にいったら上半身全裸にひん剥かれたカレッジを発見したというわけである。
「いや、今日は勝てると思ったんだって、運が来てたんだよ」
「先輩・・・いつもそういって負けてますよね」
「うっ・・・いや今日は違うっていうか確実にいける。そんな気がしたんだよ」
二人は家に帰るために歩いているとレゲンは自身の腕に巻きつけてある青い布を強く握ると突拍子のないことを言い始めた。
「先輩・・・吸血鬼って信じますか?」
「なんだ?突然」
「もし・・・いるのだとしたら、僕たちは戦って勝てると思いますか」
「・・・・・・お前のリケイルのこと言ってるのか?あいつは吸血鬼というより、獣だろう」
レゲンは右腕の布を力強く握る。
「違いますよ。姉さんと戦うつもりはないですよ。架空の生物がいるなら勝てるか勝てないかという・・・ただの雑談です」
カレッジは顎に手を当て少し考える。
「北の方にデュラハンが出たという噂を聞いたことがあるが吸血鬼か・・・いるなら戦ってみないとわからないな」
レゲンはフッと笑うと腕から手を放す。
「そうですね・・・やってみないとわかりませんね」
なんとなくレゲンの顔は疲れ切っているように見えた。
「お前がそんな話するなんて珍しいな。なんかリケイルにされたのか?」
「いや・・・今の話は忘れてください」
二人が話していると家の前についた。カレッジとレゲンが家に入るとリケイルの怒鳴り声が家中に響き渡るので合った。