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ナイトパーティー  作者: 内山スク
1章 盗賊騎士団編
2/83

太古の武器と新しき風

 ミサハ王国に属する街アルカナル。

 その市場の中、水色の髪をたなびかせた。一人の少女が息を切らして走っていた。

 川の水ののように緩やな髪をたなびかせ、軽装な服で走る少女の顔は幼さをまだ残している。十代後半だが、年相応な印象を受ける。

「人混みに紛れれば大丈夫でしょう」

 一人の少女が市場の人混みに紛れながら呟いた。

 少女の漏らした一言は人混みの賑わいに掻き消され誰にも聞こえない。

 エメリア・テンペスト彼女は旅をしていた。旅をしながら彼女はある趣味を楽しみにしていた。

 スリだ。しかし、彼女は今日ある失敗をした。彼女が今回スッたのは宝石だっのだ。

「きゃあぁ!?」

 グイっと太い男の手がエメリアを路地裏に引き込む。

 日があたり賑やかな市場とは裏腹に暗く静かな路地裏、そこには三人の男が立っていた。彼らはエメリアを睨みつける。

 三人は剣を腰に携え、腕や胸に黒い鎧を身につけている。

「宝石を返してもらおうか」

 髭をはやした大男がエメリアを掴みながら怒鳴りつける。

 「あら、返す?これは盗んだものでしょ。盗賊騎士団のおじさんたち」

 エメリアはクスッと笑うとしてもう一人の長髪の男が剣を抜いた。

 「そこまで知ってるなら、生かして返す訳には行かないな」

 エメリアは息を飲み覚悟を決めた。

 長髪の男が剣を振り下ろした。エメリア死を覚悟した。

その刹那ーーー

「グァァァァァァァ!?」

 空中に血飛沫が舞った。エメリアの血ではない。振り下ろした男の手首がざっくりと切れた血だ。

「女性に手をあげるとは騎士道精神も無くしたか」

 声がする方を見ると一人の男が立っていた。白い剣を抜き、もう片方に黒い剣を携えた銀髪の男。

「誰だ!?」

「・・・正義の騎士」

 自称正義の騎士はふざけたように笑みを浮かべると盗賊騎士たちは剣を抜いた。

「ふざけた野郎だ。ぶっ殺してやる!!」

 盗賊騎士の男たちは自称正義の騎士は切り掛かるが、自称正義の騎士は白い剣を納刀し黒い剣を抜いた。

 そして、黒い剣を真一文字に切りつけた。

 しかし、その剣は男たちにとどかず空を切った。男たちの剣が自称正義の騎士にとどきそうになったそのとき。

「なに!?」

 盗賊騎士の胸元が鎧ごとパックリと切れた。

 盗賊騎士やエリメアにも何が起きたのかわからなかった。

 先ほど剣で切った場所がかまいたちでも置いてあったように突然男たちを切り裂いたのだ。

「盗んだものを返せば、命は取らないけどどうする?」

「調子に乗りやがって、死ねぇぇ」

 先ほど手首を切られた長髪の男が切り掛かる。

 正義の騎士は前に手のひらを突き出すと、そこから火の玉が放出された。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 火の玉は長髪の男を包み込むように燃え上がった。男がジタバタ足掻き火を消そうとするが、消えない。 男が動かなくなると正義の騎士は手のひらを閉じた。すると男を包み込む炎は水道の栓を閉めたようにパタリと消えた。

 長髪の男は全身を火傷していたが微かに動いていた。

「お前らの命は依頼に入ってないけど・・・まだやる?」

 自称正義の騎士の言葉に盗賊騎士たちは小さな袋を地面に置き、火傷をおった長髪の男を担いでそそくさと逃げ出した。

「大丈夫か?」

 自称正義の騎士がエメリアに話しかけるとエリメアはフルフルと震えていた。

 先ほどの出来事が怖かったのかと思っていると自称正義の騎士は考えているとエメリアは目を輝かせていた。

「そ、そ、その武器!!オリジンシリーズですよね!!」

 オリジンシリーズ。シール王国に三百年前から代々伝わる六つの武器であり、その武器を騎士団長たちが受け継ぐ決まりになっており、それぞれ武器に能力が宿っている。

「お、おう。そうだけど」

「それひょつとして、ブレイドですか!?」

 ブレイド。オリジンシリーズの一つであり、不可視の刃を作ることができる。黒い剣は空間に刃を設置し、白い剣は刃を飛ばすことができる。

「私その武器が欲しくて旅しきたんです。その武器ゆずってくれませんか」

 唐突すぎるお願いにたじろく自称正義の騎士だったが、深呼吸し状況を整理する。

「待て、唐突すぎる。まず自己紹介からしよう。俺の名はカレッジ・スペード傭兵をやっている。で君は?」

「私はエメリア・テンペスト旅人やってます。趣味はスリです」

 元気よく犯罪行為を趣味だと言い張るエメリアにカレッジは黙り込む。

 カレッジは少し考えると、口を開いた。

「なんで、この武器がほしいんだ?」

「なんでって、かっこいいから」

 幼児のような答えに呆気に取られつつもカレッジは少し考えるように顎に手を当たると口を開いた。

「この武器あげてもいい」

「本当ですか!?」

 目を輝かせるエメリアの口を塞ぐようにカレッジは指を立てる。

「一つ条件がある」

「条件?」

 首をかしげるエメリアにカレッジは剣を撫でた。

「傭兵の仕事を手伝うこと。代わりに俺は剣術と魔法を教える。渡してもすぐ奪われたらもらった意味ないしな」

「仕事を手伝うのはいいけど魔法ってなに?」

エメリアの疑問にカレッジは指先に火をつけてみせた。

「魔法は一万人に一人素質がある力だ。ブレイドも魔力で斬撃を作り出してるから、こいつを使うには魔法は必須なわけ。」

 カレッジの説明にエメリア首を縦に振り頷く。

「で、私は魔法の才能あるの?」

「それを今から調べる」

 カレッジはエメリアに手を差し伸べた。エメリア差し伸べられた手を握る。

「魔力を持つものが、魔力を送り送られた方が属性を頭の中でイメージすればわかる」

 エメリアはカレッジに魔力を送ってもらうと頭の中でそれぞれの属性をイメージした。

 すると周りの風が渦巻いてきたのを感じ始めた。エメリアは風に包まれていた。

「やった。私魔法の才能あった」

 エメリア喜びの表情でカレッジを見るとカレッジは「当たりだ」と呟いた。

「俺の仲間に風属性の魔力をもったやつがいなかったんだよ。だから人探しが大変でな。お前は大当たりだよ」

するとカレッジはエメリアの肩を叩く。

「よし、じゃあ、いくか」

「え?どこに?」

「隠れ家に」


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