騎士の誓い
カレッジは家に帰るとエメリアを部屋に呼び出した。
「話ってなんですか?師匠」
呼びだされた理由がわからずキョトンとするエメリアの前にカレッジはブレイドを差し出した。
「エメリア・・・お前にやる。そういう約束だしな」
「いきなりどうして!?まだ修行だって途中じゃないですか」
エメリアの問いにカレッジは静かに語り出した。
「今回の戦いでお前を巻き込んで思い出したんだ・・・四年前のシール王国でしたことを」
エメリアはアイスノックから話を聞き事情は知っていたため、静かに話を聞く。
「シール王国で民たちが王宮にせめられるように同胞を・・・殺した。怖くなったんだ。お前が死ぬのがな」
四年前の出来事がカレッジの中で思い出される。
その時のことを鮮明に覚えている。焼けこげた人匂い、昨日まで笑って過ごしていた仲間たちの死体が地面に転がり、血の海が永遠に広がったまるで地獄のような光景を。
カレッジは悲しそうな顔で、辛い思い出を吐き出すように振り絞って声にする。
「俺は・・・レゲンやリケイルを巻き込んでしまった。だからここで罪滅ぼしをしていつか死ぬ・・・そんな人生でいいと思ってた」
静かにエメリアは聞いていたが、カレッジの持つブレイドが震えていることに気づいた。
「お前を失うのが怖くなったのさ。だからこれを持って故郷に帰れ」
「・・・・・私の故郷はないわ。滅びたの・・・山賊に襲われてね。それで盗みながら旅をしてきた・・・シールの伝説を聞いて、オリジンシリーズなら私の人生を変えられると思って」
エメリアは震えるカレッジの手を握る。
「私はまだ師匠に教えてもらいたいことあるし、師匠が死ぬのは悲しい。最後まで師匠の側で見届けさせてよ」
エメリアの目今にもこぼれ落ちそうなぐらい涙浮かべていた。カレッジはそのことに気づくと、悲しそうな顔から何か決意をしたような顔をした。
そしてエメリアの前に膝をつき頭を下げた。
「私カレッジ・スペードはあなたとの約束を守るためここに騎士の誓いを立てます。私の命が尽きるまでそばにいると誓いましょう」
膝をつき手を差し出す。カレッジの手をとるとエメリアとカレッジは二人で笑っていた。
そしてすくっとカレッジは立ち上がった。
「じゃあ、立派にブレイドを使いこなせるまで鍛えてやるからな」
「はい、師匠」
エメリアは元気よく返事をする。
「ちなみに私って師匠からみたらどれぐらいの評価なんですか」
「うーん十段階評価中、二だな。騎士見習い以下」
「えー!!あんなに頑張ってるのに!!」
「バカ、暗殺者とか盗賊騎士団みてただろ。お前の実力はまだまだだよ」
二人は楽しそうに談笑する。
この先も変化がある忙しい日々が続くのだと。
元騎士の仲間たちと一人の少女の物語はまだまだ続いていくのだった。