同胞を斬る覚悟
ミサハ王国、アルカナル。カレッジは部屋のベッドで横になっていた。
ベッドの横には自身の愛刀であるブレイドが立てかけてあった。
だが今の彼にはその剣を抜く気力すらなかった。
ドンドンとドアをノックする音が部屋に響いた。
「師匠。お客さんが来てますよ」
エメリアがドアを勢いよく叩いてノックしてきた。
カレッジはベッドから身体を起こし、ドアを開けた。
ドアの前には、エメリアともう一人銀髪の髪をした男がいた。
「・・・・・・レット」
「久しぶりじゃのぉカレッジ。元気そうではなさそうじゃな」
「なんのようだ。あんたがくるなんて珍しいな」
「ミサハ王国がルーラ王国に宣戦布告された」
「で?俺にどうしろと」
「ほかのシールの騎士と共にルーラに奇襲を仕掛ける。お前も来い」
レットの言葉を聴いて、カレッジの手に力がこもり拳を握った。
「俺はもう・・・戦いに疲れた」
「・・・戦いから逃げるのか?」
「今はそうしたいんだ」
後ろで会話を聴いていたエメリアが心配そうに見つめているが、カレッジはエメリアの目を見れなかった。
「・・・そうか。なら無理にとは言わん。わしらだけでもやる」
レットはきびすを返し、部屋から出る前に立ち止まって一言告げた。
「アイスノックからの伝言じゃ。お前の信念は・・・お前の剣はどこにあるとな」
そう言い残し、部屋から出ようとすると。
ドカーンという爆発音が外から響いてきた。
「なんだ!?」
「なんじゃ!?」
「なに!?」
三人は急いで外に出ると、目の前には建物の残骸が散らばっていた。
そしてその上に佇む生物が一匹。
ライオンのような四本足の下半身に鳥の羽毛のような上半身に包まれた人間の身体、そしてその顔はカレッジにとって見覚えのある男だった。
「・・・・・・パスト!?」
カレッジに気がついたのかパストは異形へと変化した身体をカレッジに向けた。
「ウオォォォォォォォ!!」
パストはライオンの下半身についた爪を突き立てた。
カレッジはブレイドを抜刀し、爪を受け止めた。
「レット、手伝え!パストを正気に戻すぞ」
「断る」
「な!?」
レットは腕を組みながら、カレッジの言葉を否定した。
「お前一人でパストを倒せ」
「何言ってるんだ!倒せる訳ないだろ!同胞なんだぞ」
「シールを滅ぼして時に斬った同胞にも同じことをいうのか?」
レットの言葉にカレッジの顔が青ざめる。何か思い出したくないことを思い出したような、そんな様子だった。
「パストを倒した時、ブレイドは本当の力をお前に見せるだろう」
「ブレイドが・・・」
カレッジは自身の剣を、見つめた。剣は震えている。
いや震えているのはカレッジの手だ。自身の覚悟の足りなさが剣に伝わっている。
「カレッジよ。自身の信念に従い勇気の剣となれ!」
レットの言葉は、パストとカレッジの苦しい戦いの幕開けを告げた。




