戦う理由
南の草原に金属を打ちつけ合う音が響いた。
剣とレイピアを打ちつけ合い、激しく剣を斬り結ぶ。
アイスノックは鉄の剣をガロンに打ちつけるがガロンは剣の軌道を変えるようにレイピアで受け流した。
そして剣を受け流すとガロンはレイピアでアイスノックを貫こうとするがアイスノックも左手で剣を防いで見せた。
「固定のレプリカが効かないとはなんだお前の腕は!?」
「どうやらお前のレプリカはオリジンシリーズには効果がないようだな」
「オリジンシリーズ?お前シールの宝を持ってるのか?」
「俺は昔シールの騎士団長だったんでな」
アイスノックは剣を叩きつけるが、ガロンは細いレイピアの刀身で受け止めて見せた。
「なるほどどうりで強いわけだ・・・・・・なら国を失ったお前はなんのために戦う?」
ガロンの問いかけにアイスノックは歯を見せてニカっと笑って見せた。
「惚れた女の為さ」
アイスノックは剣を弾き、ガロンを吹き飛ばした。
吹き飛ばされたガロンはすぐに体勢を立て直し、レイピアを構えた。
「ルーラの騎士ガロンよ。お前はなんのために戦う?」
「俺は同胞の信念に報いるためだ」
「違う!!」
アイスノックはガロンの言葉を力強く否定すると剣の切先をガロンに向けた。
「それは仲間の思いを汲んでいるに過ぎない。お前自身は何のために戦っている?何を守り、何を誇りに思い戦う?」
「・・・・・・俺は」
アイスノックの問いかけにガロンは言葉が出てこなかった。自分が戦う理由を持っていないことに気がついたからだ。
「まぁいい。遊びは終わりにするか」
アイスノックは左手の手袋を取ると、その下から朱色の腕が出てきた。腕は水晶のように透き通っていた。
「お前にメタモルフィアの本当の使い方を教えてやろう。メタモルフィアに俺自身の形を与えることだ」
アイスノックの言葉を終えると同時に腕の形をしていた物から朱色の液体がアイスノックの身体を包み込んだ。
朱色の液体はアイスノックを包み込むと、固まり朱色の鎧を生成した。
「さぁ・・・俺の本気を受け止めてみせろルーラの騎士」
アイスノックは一瞬でガロンとの位置を詰めると激しい殴打を放った。
ガロンはレイピアで殴打を捌くが、アイスノックの動きが速く捌ききれない。
「くっ!!速い!!なら氷魔法!!」
ガロンが手をかざすと手のひらから冷気が放たれ、アイスノックを瞬く間に凍り付かせた。
しかし凍りついたアイスノックは簡単に氷を割り、すぐに活動を再開した。
「どうした?こんな物かガロン・バレル。お前の誇りと信念をぶつけてみろ!!」
自身の攻撃が効かない朱色の化け物にガロンは臆していなかった。
兜の下のガロンの顔は苦笑いを浮かべつつも楽しそうな表情をしていた。
「俺との相性は最悪だな。だがそれが面白い!!」
アイスノックとガロンの戦いは収まることなく、勢いを増していった。
まるでお互いに戦うことを楽しんでいるようだった。




