狂戦士お姉ちゃん
リケイルとケルスは武器を打ち付け合っていた。戦斧とランスからは火花が飛び散り、二人とも自身の身長よりも大きな武器を軽々と振り回していた。
「貴方中々やるわね!!でもレゲンくんは渡さないわよ!!」
「いらないわよ!!それに好きじゃないわ!!」
「・・・・・・なんですって!!!」
リケイルのランスを握る力が強くなり、ランスを振るう力が増した。
「貴方・・・・・・レゲンくんと出会っておきながらレゲンの良いところがわからないというの・・・」
ケルスは振るわれるランスを受け止めるが力一杯振るわれるランスは一撃が重く、ケルスの手を痺れさせる。
「このままじゃ押し負ける。重力のレプリカ!!」
ケルスの持つ戦斧の赤い宝石が光り始め、リケイルの周りに重力がかかり始めた。
リケイルの周りの草や地面はめり込み、リケイルの身体も重くなっているのかリケイルの足が地面にめり込んだ。
「どう?これが重力のレプリカよ。効くでしょう?」
ケルスはリケイルから距離を取ると手を天に掲げた。
「このまま岩魔法であんたを押し潰してあげるわ」
ケルスが天に手を掲げると天から大岩がリケイル目掛けて落ちてきた。
重力がかかったままのリケイルに逃れるすべはなかった。大岩がリケイルを押し潰そうと迫りくる。
リケイルの頭の上まで大岩が迫り、ズドンという音が辺りに響き渡った。
そう・・・・・・リケイルが大岩をブルートランスで砕いたのだ。
「・・・・・・は?」
ケルスが驚いているとリケイルは大槍を振い、一歩足を踏み出す。
まるで重力がかかっていないように、当たり前のように歩みを進め距離を詰めてくるリケイルにケルスは更に重力を強める。
だがリケイルの足は地面にめり込むが歩みを止めることはできなかった。
「な、なんで!?重力を最大にしているのになぜ動けるの!?」
「・・・・・・愛の力よ」
リケイルはブルートランスを大きく振いケルスの顔面にブルートランスを叩き込んだ。
「クッ!!」
ケルスは大きく吹き飛ばされた。ケルスの兜はまるで粘土を地面に叩きつけたようにぐにゃりと曲がっていた。
「危なかった。岩魔法で硬化していなかったら死んでいた」
ケルスは立ち上がり兜をとった。兜の下は整った顔立ちに白髪の長髪の髪をした青目の女性だった。
岩魔法で守ったため、整った顔は無事だったが表情は明らかに動揺していた。
「初めてよ・・・・・・重力をかけているのにそのまま攻撃されたのは」
「貴方本当にレゲンくんの良さがわからないの?」
「・・・・・・わからないわよ。逆に教えてほしいわよ」
ケルスの言葉を聴くとリケイルは大きく息を吸い込んだ。
「仕方ないわね素人の貴方でもわかるように外見から説明してあげるわ。まずは整った顔立ちとキュートなまつ毛に目がいくわね。そして鍛錬を忘れずに毎日鍛え上げてきた肉体。もちろん顔や身体だけじゃないわ!!周りに気を配りながら丁寧語を忘れずに話しかけるけど、本当は自分の意見を押し殺しているところ。だけどそれを私にこっそり相談してくるところにあたしはお姉ちゃんをやっていてよかったと思うわ。だって信用してきる家族にしか話さないところも魅力的ね。最近は本を読むことやオカルトも好きみたいで、お風呂や寝室まで持ち込んでるわね。本とかオカルトの話をしてワクワクしてる時の顔はとても魅力的だわ。特にワクワクして誰かに本の話やオカルトの話をしている時が一番レゲンくんが輝いていると感じるわね。王国時代では見れない顔ばかりでお姉ちゃん嬉しくなっちゃった。最近はアルファスさんと話している時も楽しそうでお姉ちゃん見てて嬉しいわ。だけどなんといっても戦っている時のレゲンくんがかっこいいところも外せないわよね!!戦っている時に周りに配慮しながら状況を分析して、相談できるところがお姉ちゃん偉いなぁって思うもの。この前だってゾンビと戦っている時だってお姉ちゃんレゲンくんしか見てなかったし、数分別れただけでお姉ちゃんレゲンの成長を感じちゃった。そうだ戦いといえばレゲンの持つクリスタルもレゲンくんが持つに相応しい武器だと思うわ。だってレゲンくんの心ように綺麗で美しいもの、やっぱりレゲンくんは――」
「もういい!!一言で纏めろ!!」
ケルスの言葉を聴いてリケイルはため息を吐いた。そして息を吸いこみと笑顔で一言吐き出した。
「レゲンくんは最高の弟ってところよ」
「結局ブラコンじゃないの!!」
「ブラコンでいいわ。レゲンくんは私の全て!!レゲンくんこそ私の誇りであり、守るべきもの」
リケイルはブルートランスを構えるとケルスに突進した。
「は、速い!?」
ブルートランスはケルスの腹に直撃したがブルートランスは刺さらなかった。
「あら?あんた固いのね」
「岩魔法で塞いだからね」
ケルスが手首を曲げると地面が飛び出しリケイルに絡みついた。
「これで身動き取れないでしょう」
ケルスは笑みを浮かべて戦斧を構えるがリケイルはなぜか笑っていた。
「そういえばあんたにまだブルートランスの本当の使い方を教えてなかったわね」
「そんなもの知りたくないわ!!」
ケルスはリケイル目掛けて戦斧を振るった。しかしその前にリケイルはケルスに告げた。
「本当の食べ物をブルートランスに教えることよ」
ケルスの振るった戦斧はリケイルの手で受け止められていた。リケイルの身体は獣の毛皮のような青い体毛が鎧のように身体を包み込んでいた。
拘束していた地面を簡単に引きちぎり、リケイルは笑っていた。
目は獣ようにギラついており、胸元には丸い青い結晶のようなものが飛び出していた。ブルートランスはまるで腕と一体化したように絡みついている。
ケルスはリケイルの姿を見て冷や汗を流した。まるで野生のクマか狼に丸腰で挑むような、そんな恐怖を感じさせたからだ。
「一つ・・・・・・忠告するわ」
獲物を狙うかのようにリケイルはケルスを睨みつけた。
「もう防御しようと考えない方がいいわよ・・・・・・受け止めた瞬間が貴方の最後だから」
ケルスはゴクリと唾を飲み込んだ。リケイルの言葉は嘘偽りでもなく本当の忠告であると直感で理解したからだ。
「これが・・・・・・シールの騎士。油断は死ってことね」
それからの戦いはリケイルの一方的な戦いだった。ケルスはリケイルに一撃与えることすらできず逃げに徹するのであった。




