ゲーム開始
ミサハ城の城門がゆっくりと開き馬車が一台入ってきた。
城の前で馬車が停止すると、馬車の扉が開き鎧を身につけた騎士が四人出てきた。
そして四人の騎士が道を作るように整列すると中からドレスを身に纏った女性が降りてきた。
白い雪のような美しい長髪をたなびかせ、ルビーの瞳をした女性だった。女性がゆっくりと馬車から降りると後ろには、金色の鎧を身に纏った騎士が後ろ控えていた。
金色の鎧を着た騎士は長剣を腰に下げていた。しかし、その長剣には鞘がなく刃が剥き出しのままだった。糸目をした金髪の男だ。
ドレスを纏った女性がミサハの城に入るために歩みを進めると整列していた騎士達も女性の後ろへと続いた。
四人の騎士はそれぞれ特徴的な兜をかぶっており顔は見えない。
一人はレイピアを腰に下げ青い鎧を見に纏っていた。青い鎧を身につけ兜の頭には白い鳥の羽のような装飾があった。
また一人の騎士は山羊のような角の装飾がついた兜を被り、黒い鎧を見に纏っている。背中には大槌を背負っていた。
その後ろに続く騎士は水色の鎧に身を包み、猫の耳のような装飾がある兜を被っていた。鎧の上からでもわかるほど身体は細く、女性のような印象を受ける。しかし背には身の丈よりも巨大な戦斧を背負っており、その戦斧からか威圧感を放っていた。
そしてもう一人は背中に弓と矢筒を背負っていた。緑の鎧に身を包み、ユニコーンのような角がついた兜を身につけている。
ドレスを身につけた女性が歩みを進めると城の廊下にはミサハの兵士達が整列していた。そしてその真ん中には一人の男が立っていた。
「はるばるルーラからお越しいただきありがとうございます。タンティア・ルーラ姫・・・・・・私ミサハ王国騎士団長アルファス・クレアニムと申します」
「お出迎えどうもありがとうございます。タンティア・ルーラと申します。よろしくお願いしたしますわ」
「我が主がお待ちになっております。ご案内いたします」
アルファスはタンティアに背を向けると廊下の奥へと歩き始めた。
タンティアと五人の騎士もそれに続いて歩き始めた。
そして大きな扉の前に来るとアルファスは歩みを止めた。そして大きな扉に手を当てると扉を開けた。
中には大きく丸いテーブルがあり、入り口とは正反対の位置に王冠を頭に被った男が座っていた。
男の後ろには護衛の騎士が二人立っている。
「客人をお連れしました。我が主」
「ご苦労アルファス・・・・・・遠くから御足労どうもタンティア・ルーラ姫」
「いえいえお会いできて光栄ですわ。ティーカ・ミサハ王」
タンティアはスカートの裾を上げ会釈した。
「まぁ立ち話もなんだ、座って話そうか」
ティーカがそう言うとアルファスがタンティアの前の椅子を引き座ってくださいと手でハンドサインを出した。
タンティアもそれを見て椅子に座ると、ティーカは優しい笑みを見せた。
「いや〜最初話がしたいって聞いたから君のお兄さんかお父さんが来ると思ってたんだけど・・・まさか姫君がくるとはねぇ」
「父は病気に伏せておりまして、兄上は多忙なので・・・」
「あぁそうなの・・・で何話って?」
「単刀直入に言わせてもらいますわ。そちらの国にいるシールの騎士の身柄を引き渡してもらいたいのですわ」
タンティアの言葉にティーカは眉間に皺を寄せた。
「ほう・・・・・・それはなぜ?」
「シール王国が滅びてから四年・・・シールの騎士団長達は逃げたままですし、国民からの不安は絶えません。平和のためにもシールの騎士団長達を捕まえておきたいのです」
「本当にそれが目的ですか?」
ティーカの質問にタンティアは身体をビクリと振るわせた。
「ハハハ・・・さすがですわね、本当は違います。シールの騎士団長を捕まえたいと言うのは建前です。本当はシールの秘宝であるオリジンシリーズが一つリカバリングが目当てです」
タンティアは息を整えると話を続けた。
「父の病はルーラの医学を持ってしても治せません。しかしシール王国のリカバリングなら身体を再生させることができる。ですからシールの騎士団長の捕獲が必要なのです」
ティーカら話を聞いて深くため息をついた。
「違いますよタンティア姫・・・」
「違うとは何がでしょうか?」
「本当にそれが目的かと聞きましたよね?」
「えぇですから、理由はお話ししました」
「貴方に聞いているのではありません」
ティーカの一言で場の空気が変わった。ティーカは睨みつけるようにタンティアを見た。
「貴方に聞いてるんですよ。貴方の中にいる悪魔にね・・・」
「・・・・・・・え?」
タンティアは呆気に取られていた。状況が理解できず、狼狽えていた。
「悪魔?な、なんのことですか。私は私です!!何を言っているかわかりません!!」
そんなタンティアを見て、ティーカは冷静にただ冷たい目線を向け続ける。
「ミサハの情報網を舐めないでいただきたい。ルーラがレプリカをばら撒いていることも、悪魔を復活させようとしていることも情報は掴んでいますよ」
「な、なんのことですか!?これは私の考えです!!私は自分の意思でここに来て話し会いたいと思ってきたのです。レプリカなど知りません!!」
「・・・・・・もういいでしょう。レットから話は聞いてますよ。出てきたらどうですか?ララキューレ」
ティーカがその名前を呼ぶとタンティアは糸の切れた人形のように脱力し頭を下げ黙り込んだ。
そして頭を上げるとその目つきは変わっていた。先ほどとは目つきが変化し、怪しい笑みを浮かべていた。
「いやはやそこまで調べがついているとは・・・・・・さすがは一国の王といったところかのぉ」
ティーカの後ろの騎士が剣を抜こうとするとティーカが手を上げ、騎士達を静止した。
「・・・・・・レット。確かあの魔女の隣にいた男か。まだ生きておったとはのぅ」
「で?何が目的ですかね。悪魔さん?」
「フフッ食えん男じゃのう。本当はシールのオリジンシリーズを奪ってからミサハに戦争を仕掛けるつもりだったのじゃが失敗じゃな」
ララキューレは足を机の上に乗せると、腕を組んで見せた。
「妾の正体を見破った褒美じゃ。ミサハを滅ぼすのは今回はよしといてやる」
「ミサハに戦争仕掛けるというのか。ルーラ王や王子が黙っていないぞ!!」
「フフッ、あのくだらん人間たちなら殺したぞ!!」
「な!?」
ティーカが驚きの声を上げる前に後ろにいた羽の装飾をつけた騎士が驚きの声を上げた。それを聞いてララキューレはその騎士をギロリと睨みつけた。
「なんじゃ?ガロン何か不満かのぉ。今は妾が貴様の主人じゃぞ。貴様以外それをわかっているようじゃが?」
ガロン以外の周りの騎士達は狼狽えることなくただ黙っていた。
「・・・・・・主がなすままに」
「それでよい」
ララキューレは満足ように笑みを浮かべると再びティーカを見た。
「ミサハの王よ。ゲームをしよう」
「ゲーム?」
「これからこの国の外の東西南北にこのルーラの騎士団長達・・・ルーラ四騎士を一人ずつ配置する。この騎士団長達が貴様の首を取れば貴様の負け、こちらの騎士団長が一人でも討ち取られればこちらの負けじゃ。どうじゃ」
ララキューレは悪そうな笑みを浮かべるが、ティーカには拒否権はないことはわかっていた。拒否すればこの場で首を取られるのは明確だったからだ。
「・・・・・・いいだろう」
「フフッそれでよい」
金色の鎧を着た騎士が長剣を抜き空を切り裂いた。すると空間が裂けた。その中に騎士達が入っていくと最後にララキューレも後に続いた。
「では十分後に開始じゃ。元気でのぉ、ミサハの王よ」
ララキューレは笑顔で手を振ると空間の裂け目に入っていった。そして空間の裂け目は閉じると元々何も無かったかのように空間は元に戻った。
「アルファス国中の騎士に今のことを伝えろ!!民を城の中に集めろ」
「承知いたしました」
アルファスは急いで扉を開けて部屋の外に出ていった。
ティーカは机に肘をつきながら窓の外をみた。外の天気は日差しがなりなり雲が黒くなり始め、今にも天気が崩れそうだった。
「やってくれたな。悪魔め・・・」
ティーカの言葉が広い室内に静かに広がった。




