心は戦場に置いてきた
レゲン達が城の目の前まで来るとアルファスが待っていた。後ろには配下の騎士や番兵が並んでいた。
「お久しぶりですね。アルファスさん」
「お待ちしておりましたよ、皆様・・・・・・そちらの方は?」
アルファスは目線をレットの方へと向けるとレットは笑みを浮かべてお辞儀した。
「シール王国元騎士団長レット・ルダークと申します。ミサハの騎士アルファス殿に会えるとは光栄のいたりであります」
丁寧にお辞儀するレットを見て、アルファスは目を見開いた。
「あなたがあのレット・ルダークですか」
「何じゃ?ワシはミサハでも有名なのかなぁ?」
「シールと戦ってその名を知らない者はいませんよ」
「そうかそうか、ところでクレイは元気か?」
「クレイ騎士団長は我が息子と修行の旅に出ております。本日帰ってくるはずです」
「そうかそうか」
「で?あたしたちはこれからどうすればいいの?」
リケイルがアルファスに質問するとアルファスは咳払いして、国を囲む城壁の外を指差した。
「あなた方には城壁の警備をお願いしたい。ミサハとルーラの王族が集まりますからそれを狙う輩も多いはず」
「なるほどわかったわ、じゃあシオン探してとっと持ち場に着きましょうアイスノック」
「相変わらず弟以外は興味なしか・・・じゃあ先行ってるわ」
アイスノックとリケイルは道を引き返し城下町へと降りていった。
「相変わらずじゃのぉ。奴らは」
「まぁあの二人らしいですよ」
「ところでアルファスくんじゃったかな?トイレに行きたいんじゃが、トイレはどこじゃ」
「トイレですか、君案内してあげなさい」
「は!!」
アルファスは後ろにいた番兵に案内され、レットは城の中に入っていった。
「ルーラはミサハと何を話すつもりなんでしょうか?」
レゲンの問いにアルファスは顎に手を当てた。
「さぁ、わかりません。我が主人は平和を望む方ですがルーラ王国が何を望んでいるのか・・・・・・」
二人が話していると人影が近づいてきた。振り返ると、目がほとんど開いていないヨボヨボの老人と若々しい青年が立ってた。
「あ、父上お久しぶりです」
アルファスに話しかけた青年は茶髪の髪をしており、軽装の鎧に身を包んでいた。腰には二刀の銀色の剣を下げていた。
「おぉ、フロス帰りましたか。クレイ騎士団長様もお帰りなさいませ。息子がお世話になりました」
アルファスがヨボヨボの老人に話しかけたが老人は聞こえていないのか反応を返さなかった。口をモゴモゴさせ、辺りをキョロキョロと見渡していた。白髪の髪もボサボサであり、身だしなみが整っていないように見えた。
「クレイ様?」
「お主は誰じゃ?」
アルファスが話しかけるとクレイはとぼけたような反応を見せた。
「父上・・・クレイ騎士団長は旅に出てからどんどんおかしくなってしまって、今じゃ記憶も無くなってしまいました」
「・・・・・・そうですか。クレイ騎士団長殿も老いには勝てませんでしたか」
「この方があのミサハ鬼人と言われたクレイ・キルマンドですか。とてもそのような人には見えませんね」
レゲンや他の人が見てもその老人の腕は細く、皮と骨しかなかった。とても剣を握れるようには見えない。
「おい。婆さんや飯はまだかのぉ?」
「おい、クレイ騎士団長はお疲れだ。休ませて差し上げろ」
「ハハ!!了解いたしました。こちらですクレイ騎士団長様」
後ろにいた騎士がクレイを案内しようと手を当てるとクレイは手を払いのけた。
「何じゃ若いのあっちいけ!!まだ婆さんを食べてないじゃろが」
「最低なボケかたしてますよあの人!!」
「クレイ騎士団長は大の女好きだったので許してください」
レゲンのツッコミをフロスがなだめていると城の中から手を拭きながらレットが戻ってきた。
「ふうすっきりした。年とるとトイレが近くなってダメじゃな」
「レットさん戻りましたか」
「・・・・・・レット!?」
レットの名前を聴くと突然クレイの目の色が変わった。クレイは細い腕で近くにいた騎士から剣を抜き取るとそのままレットに斬りかかった。
「レット・ルダーク!!!!」
目に留まらない速さでレットととの距離を詰め、レットに斬りかかるがレットは腰から剣を抜き軽々と受け止めて見せた。
「よぉクレイ・・・元気そうだな」
「レット!!戦いの続きをしよう。まだミサハとシールの戦いは終わってないぞ!!」
「クレイお前・・・・・・自分を失ったか・・・」
「私は自分を失ってなどいない!!私の心は戦場に置いてきた!!」




