残酷な選択
カレッジが路地から出ると目の前にアイスノックが立っていた。
「よぉ、ボロボロだな。カレッジ・・・」
「アイスノックか・・・」
カレッジは顔を下げ、アイスノックの顔を見ようとはしなかった。
「アイスノック・・・・・・お前・・・パストと戦ったんだよな?」
「あぁ」
「パストにシール王国を滅ぼしたのは俺たちだと言ったのはお前か?」
「・・・・・・あぁそうだ」
二人を少しの間沈黙が包み込む中、遠くからエメリアが手を振って近づいて来た。
「おーい師匠!!探しましたよぉ」
エメリアが笑顔で近づいてくると、カレッジはアイスノックの胸ぐらを力強く掴んだ。
「お前・・・・・・なんでパストにシールが滅びたことを話した!!」
カレッジは怒りに満ちた顔でアイスノックを睨みつけるがアイスノックは表情を変えずにカレッジに淡々と言葉を返した。
「・・・・・・ならお前は、パストがシールが滅びた真実を知らずに生きてた方が幸せだと思ったのか?」
アイスノックの言葉を聴いて、カレッジはアイスノックの胸ぐらから手を離した。
「外に出て故郷がなくなった理由を知らずに人生を歩んで俺達は知らん顔してるのが正解なのか?お前ならそれを耐えられるのか?カレッジ・・・・・・」
「確かに残酷なことだがもっと伝え方があったんじゃないのか!!理由を話せばパストだってわかってくれたはずだ!!」
「それでどうだったんだ。実際戦ってあいつは言葉に耳を貸したか?あいつが十年思い続けた思いをどこに吐き出させた?パストにこれ以上耐え続けろというのか」
アイスノックの言葉にカレッジは言葉を出そうとしたが、その言葉は口から出てこなかった。カレッジは口にしようとした言葉を飲み込むと、深呼吸して息を整えた。
「・・・・・・そうだな。確かにお前が正しかった。頭に血が昇っていた・・・すまない」
カレッジはフラフラとした足取りで、歩き出すとエメリアの横を通り過ぎた。
その顔はどこか疲れたような、悲しそうなそんな言い表せない表情していた。
「・・・・・・師匠」
「・・・・・・エメリア。帰るぞ」
カレッジはそう言うと、ゆらゆらと身体を揺らしながらおぼつかない足取りで歩いていった。エメリアも心配してその後を追いかけ、帰路についた。
帰路の道中カレッジが一言も喋ることはなかった。




