清算できない罪
エメリアがタンティアと町を歩き回っている最中。カレッジとパストは激しく武器を交えていた。
日が当たらず、人の気配もない路地裏でキンッという音が何度も聞こえてくる。
カレッジは二振りの剣で猛攻を仕掛けるがパストはハルバードで猛攻を捌きながらカレッジに攻撃する。
それをアルファスは目で追っていた。
「す・・・・・・すごい。これがシールの騎士の戦い方か・・・・・・これでは我が国の騎士達も勝てないわけだ」
パストが振り下ろしたハルバードをカレッジは二刀の剣を重ねガードした。
「パスト・・・・・・前よりも強くなったか?牢獄暮らしで鈍ってなかったようだな」
「鈍ってないさ・・・・・・俺を突き動かすのは復讐心だ。俺の失った時間も!!心に空いた穴も!!お前らをぶっ殺さなきゃ満たされないんだよ!!」
顔を怒りに染めながら、パストの持つハルバードにさらに力が強くなる。
「俺だってシールを滅ぼしたかった訳じゃない。王が民の声を聞かなくなったら、それはもう独裁者だ。だから俺たちはそれを止めたんだ」
「なら、なぜ国の騎士達を皆殺しにした!!!」
パストの一言を聞いてカレッジが握る剣の力が一瞬緩んだ。それをパストは見逃さなかった。
そのままハルバードをカレッジに叩きつけ、カレッジの剣のガードを崩した。
カレッジの胸から腹にかけて縦に切り裂かれ、血が飛び散った。
血が溢れカレッジの服から垂れ、地面に滴り落ちる。それを見てパストは思いの丈をぶつけるように口を開いた。
「シールを滅ぼすのは仕方ないとしても、なぜだ?なぜ共に戦った仲間を、部下達を殺したんだ!!カレッジ!!」
パストの言葉にカレッジは項垂れたように下を向くと、ゆらゆらと身体を揺らし立ち上がった。
傷口を抑えることはせず、痛みを受け入れるようにただ剣を構えた。
「・・・・・・みんなに話したさ。シールを滅ぼすとな・・・・・・みんなついてこなかった。オリジンシリーズを手にすることを夢見て騎士になった者が大半だっからだ。だから殺すしかなかった・・・・・・」
「・・・・・・カレッジ。お前・・・・・・」
「だからといってお前に殺されるつもりもないし、罪を清算する気もない・・・」
「カレッジ!!!!」
パストがハルバードを振おうとした刹那だった。一閃がパストの身体に走った。するとパストの身体に斜めに線が入り血が飛び散った。
「だから、この罪を背負って俺は生きていく。殺したシールの仲間の無念を背負ってな」
その言葉を聞くとパストは地面に倒れ込んだ。血溜まりの中に倒れるパストはまだ意識が残っていた。
「止めをさせ・・・・・・カレッジ」
パストの呼吸が血溜まりに波紋をつくる。そんなパストを見て、カレッジは剣を鞘に納めた。
「殺さないし・・・・・・殺したくない。もう同胞を殺すのは疲れたんだ」
「・・・・・・アイスノックとも戦った時もそうだった。奴は俺を殺せたのに手を抜いた・・・お前らも辛かったんだな・・・」
「あぁ・・・・・・お互いにな。だけどお前との誓いを忘れたことはないよ。お前がいなくなってからもな」
「・・・・・・そうか」
カレッジはパストに背を向けると戦いを見ていたアルファスの前で立ち止まった。
「アルファス・・・・・・パストを」
「わかってますよ。治療してから、処遇は決めます」
「あぁ・・・・・・それでいい。頼んだ」
カレッジはそのまま路地から出て行った。他に伏せたかつての戦友に背を向けて。




