忘られた風 燃え上がる闘志
カレッジ達は馬車に揺られフルバイエに到着したのであった。
「ここにくるのも久しぶりだな」
「脱獄した囚人たちを探しにきた時以来ですもんね」
「あぁ、カラトナ要塞から脱獄した囚人達を捕まえたのはカレッジさん達でしたか・・・・・・イルマが世話をかけましたね」
「イルマを知っているのか?」
「えぇイルマ・カーストは私と同門の剣技を学んだ仲です。まぁ彼は脱獄してからまだ捕まってないですが」
「そうだったのか・・・・・・というかイルマはまだ捕まってなかったのか」
カレッジ達は話しながら歩いていると、市場の人混みに入っていった。カレッジとアルファスは市場の人混みの中を歩き続け、人混みから出るとエメリアの姿が消えていた。
「あれ?エメリアは?」
「市場の人混みで逸れましたか」
「まずいな。あいつの風魔法を使わないとパストを探すのが面倒になるぞ」
「戻りますか」
アルファスが足を一歩踏み出そうとしたその時だった。風を切る音が聴こてきたのは。
アルファスはその音を聴くと咄嗟に剣を抜き、風を切る音が聴こえた方向に剣を振り払った。
パシュンという何かが破れたような音が響くとそよ風がアルファスの身体を通り抜けた。
「どうした?アルファス」
「カレッジさん・・・・・・どうやら私達はこの街に入った時から狙われていたようですよ」
「どういうことだ?」
アルファスは剣を抜いたまま路地に走っていった。
「おい!!待てアルファス!!」
カレッジもアルファスを追って路地に入ると、目の前から突風が襲った。
「な、なんだ!!」
突風が吹き止むと、目の前にはハルバードを持ち、フードを被り顔を隠した人物が立っていた。
カレッジの目の前にいるアルファスも剣を構える。
「久しいなカレッジ・・・・・・シールを滅ぼしてミサハと手を組んでいるとはな」
フードを取るとその下からボサボサの髪と、顔面に刻まれた三本線の傷が入った男の顔が現れた。
「・・・・・・パスト!!」
「お前やアイスノックには失望したぞ。俺たちは騎士になる時に誓ったよな。シールの名を世界中に轟かし一番の国にするとな」
「・・・・・・ああ・・・・・・いったな」
カレッジの顔色が変わり、腰に下げた二本の剣をゆっくりと引き抜いた。カレッジの顔には汗ひとつ流れていなかった。
路地に流れる澱んだ風がその場にいる三人を包み込み、周りの音が聞こえないほどの緊張感が辺りに走った。
「シールを裏切り、誓いを破った大罪人が!!俺がこの手で粛清してやる!!」
「うるせぇ!!あの場にいなかったお前に何がわかる!!民がいなければそれは国とは呼べねぇんだよ!!」
二人の武器がぶつかり合い、火花を散らした。
二人が武器を打ち付け合う音が路地に響き渡るが、周りにはその音は聞かなかった。
市場で栄える人々の声がそれをかき消した。
二人の戦いに気がつく住民はいなかった。まるで忘れ去られたように、静かに二人の戦いは始まった。




