ある一夜の始まり
ドラゴンの襲撃から半日が過ぎた後、レット達は悪魔がいる山にまた登ろうとしていた。
空は星や月すら見えない暗闇に包まれ、今が日中なのかか真夜中なのかも判断できない。
「本当にまた戦うんですか?」
疑問をぶつけるルミナスにカラバスは真剣な表情で答えた。
「当たり前だ。あの悪魔達を倒さないとこの世界は魔物だらけにされちまうからな」
「・・・・・・悪魔達?」
「あぁ、悪魔は二体いる。俺達を襲ってきたマルガンテともう一体・・・・・・ララキューレっていう女の悪魔がな」
「二体いるのか!!」
後ろで話を聞いていたレットが驚きの声を上げた。
「そうだ。俺達は二体の悪魔を倒す必要がある。特にララキューレはマルガンテよりも手強い」
「まじか・・・・・・」
そんな話をしていると大地が揺れるような振動と共にドスドスという何か複数の足音が聞こえてきた。
「ま、まさか」
カラバスは山の下を見てみると、地面が見えなくなるほどの魔物の群れが集まっていた。
ゴブリンやケルベロス、サキュバスがレット達を目指して山を駆け上ってきており、空からはフェニクスやグリフォン、そして空を泳ぐように人魚のように上半身が女性、下半身が魚の生き物が迫ってきた。
(やられたな。恐らく悪魔の仕業だろう。私達をここで仕留めるつもりか)
「ここで私達を消耗させるつもりですね」
各々が武器を構える中、サエンがクリスタルを地面に突き立てた。
「皆ここは俺に任せてくれ!!」
「サエン・・・・・・無茶だ!!相手は数百いるんだぞ」
「カラバスの旦那、ここは誰かが残らなくちゃいけないんです。ここは俺に任せてください」
「・・・・・・サエン」
心配させまいと笑うサエンにカラバスは何も言わずに横に立った。
「残るのは二人でもいいだろ?」
「カラバスの旦那・・・・・・」
「ここは俺たちが引き受ける!!お前らは悪魔を倒しにいけ!!」
「・・・・・・わかりました。必ず生きて帰ってきてくださいね。サエン、カラバス」
(上で待っているぞ)
「無理はするなよ」
「必ず追いかけてくるのじゃぞ」
「待ってますからね。カラバスさん、サエンさん」
レット達が駆け上がっていくのを見届けると、向かってくる魔物の群れを見ながら二人は笑っていた。
「カラバスの旦那はこの戦いが終わったらどうします?」
「そうだな・・・・・・ルミナスが作る国とやらで働こうかな」
「それはいいですね。俺もそうしますかね!!」
二人は空中や、地上から迫る魔物達を相手に戦い始めた。
灰色に染まる岩肌を赤い血の色で染めるには数分もかからなかった。




