帰り道
カレッジたちは仕事が終わり、キーラから報酬を受け取った。
隠れ家のあるアルカナルに帰るために荷馬車に乗っていた。
オレンジ色の夕日が沈みかけており、隠れ家につくのは夜になってしまうだろ。
一つ行く際と違うのは、一緒にリケイルが乗っていることだ。
「はーん。なるほどそれで、弟子になったわけ」
馬車にゆられながらエメリアはリケイルにこれまでの経緯を説明した。
リケイルの様子は屋敷と会った際とは打って変わってまるで別人ように元気よくハキハキと喋っており、ボサボサだった髪もケアが行き届いてることがわかるくらいサラサラで風にたなびいていた。
「それよりも!!リケイルさんのオリジンシリーズみせてくださいよ!!」
エメリアは目を輝かせてリケイルを見つめるが待ったと言いたそうに手を開き突き出す。
「その前に、聞いておかなくちゃいけないことがあるわ」
エメリアが首を傾げるとリケイルは目を見開き真剣な表情で口を開いた。
「ズバリ・・・あなたレゲンくんのことどう思ってるの?」
「・・・・・・イイヒトダトオモイマスヨー」
「合格!!!この子めっちゃわかってるわねカレッジ」
真顔で言い切ったエメリアの頭を撫でながらリケイルは嬉しそうにカレッジを見た。
カレッジの顔は呆れていた。恐らくレゲンに好意があるとか悪口でも言っていたらブルートランスで貫くつもりでいたんだろう。
内心エメリアも同じことを思っていたのか口は笑っているが目が死んでいる。
「私の武器はこれよ」
リケイルは上機嫌に身につけている腕輪を見せた。屋敷でもつけていた黒い腕輪に三つのルビーのような宝石がはめ込まれた物だ。
「これが、オリジンシリーズ?」
首を傾げるエメリアにリケイルは腕輪に手をかざすと腕輪が粘土のように形が崩れランスの形になる。
「これがあたしの武器、ブルートランス」
子供のように目を輝かせるエメリアを見ながら自信満々にブルートランスを見せつける。よほどエメリアを気に入ったらしい。
「しかし、魔法を使えるならこのブルートランスは使えないわね。ていうかそもそもオリジンシリーズは一つしか持てないけど」
「え、どういうことですか?」
唖然とするエメリアにリケイルは淡々と告げる。
「ブルートランスは代々魔力が無いものが使う決まりなの。魔力を与えてしまうとこの武器が・・・本当の食べ物に気づいてしまうから」
「そっちもそうなんですけど、オリジンシリーズって一つしか待てないんですか?」
エメリアは驚いた様子に聞かされてないのかという顔でリケイルはカレッジを見た。
カレッジは気まずそうにそっぽを向いていた。
「オリジンシリーズは持ち主に忠誠を誓うことで能力が使えるの。もし二つの武器を待とうものなら武器に殺されるわ」
つまり、エメリアは現在ブルートランス以外のオリジンシリーズしか持てないということになる。
「昔ブルートランスとクリスタルを使おうとした騎士がいたけど、血を吸われてミイラになったあと体が結晶化して死んだわ」
エメリアはその話を聞いて青ざめた。
改めて自分が求めてきた武器が恐ろしい物だと実感するのであった。
「てかカレッジなんで、あんたが来てんのよ。愛するレゲンくんはどうしたのよ」
「レゲンを連れてきたらお前レゲンにベッタリだったろう。この作戦も失敗するわ!!てかあんな手紙送ってきて、本人が来るわけないだろ!!」
「そんなことないわよ。大好きなお姉ちゃんのためなら来てくれるに決まってるわよ!!」
二人の言い争いを聞きながらもエメリアたちは隠れ家に帰るのであった。
隠れ家に着くとリケイルは勢いよくドアを開け家の中に入っていく。
「レゲンくぅぅぅん♡おねぇちゃん寂しかった。レゲンくん成分補給させてぇぇぇ♡」
「うわぁぁぁぁ、くっかないでください。苦しいぃぃ」
リケイルの大声とレゲンの断末魔を聞きながらカレッジとエメリアはやれやれという顔をしながら帰宅するのであった。