始めの一歩
「ここは...どこなんだ?」
「どこだここ...見たことないし家の周りじゃないことは確かだ。」
2人は困惑しながらも、恐る恐る一歩を踏み出した。するとすぐ近くの茂みから、人の声が聞こえてきた。
「おーい、大丈夫かい?」
突如声が聞こえ、声の主が現れる
声の主は、優しそうな面持ちの初老の男性だった。男性はタクミ達に近づくと、にこやかに話しかけてきた。
「君達は迷い込んできたのかい?ここは普通の人間が立ち入れる場所じゃないはずだが...」
「え...ここは一体どこなんですか?そしてあなたは誰ですか?」
タクミが男性の方に話しながら近づこうとした時、ソラが話しかけた
「タクミ!こいつはまだ何者かも分かんないんだぞ!うかつに近づくな!」
するとその男性が話し始める
「私は怪しい者ではないよ、自己紹介させてくれ。」
男性は自己紹介した。その名はジン。かつてこの世界でモンスタートレーナーとして名を馳せた人物らしい。そしてこの世界の仕組みについて、丁寧に説明してくれた。
そしてその後男性は少し考えるそぶりを見せると、謎の石を取り出して謎の生物、2人にとってはもはや異形のそれと何かを話し始めた。そして男性はゆっくりと口を開いた。
「ここは異世界。君達の知っている世界とは全く違う、不思議な力に満ちた世界なんだ」
タクミはその言葉に目を丸くした。異世界だなんて、冗談だろう。しかし目の前の光景は、紛れもなく現実のものだった。
そしてソラは1つ違和感を覚え、男性に聞いた
タクミ「ここが異世界なのは百歩譲ってそうだとする、知らない植物や異形の生物がいるんだからな、でもなぜ俺達がここではない世界から来たと分かったんだ?それはずばり、あんたが俺たちを連れてきたから、違うか?」
男性はその質問に答えた
ジン「まず1つ目、私は君達がここに来たのとは関係ない、そして2つ目、君たちのことを分かった理由は私の相棒のこのモンスターが教えてくれたんだ、彼はナイトロと言って相手の情報が大雑把に分かるんだ。」
そしてタクミはジンに尋ねた
「ここはどんな世界なんですか?」
ジンの説明では、この世界では1部の人だけがモンスターを捕まえて召喚することが出来て、その人達にはコストという概念が存在し、特殊な戦闘に勝利したり、特定のダンジョンなどをクリアすることでコストは増加する。全てのモンスターにコストがあり、そして自分のコストの分だけ、この世界の生物であるモンスターを同時に召喚することが可能らしい。
「モンスターを捕まえるには、まずモンスターを弱らせてから、このソウルストーンという特別な石ををモンスターに当てると捕まえることが出来る。そのモンスターの力の一部を閉じ込めることで、仲間にすることができる。出てくるモンスターは場所や環境によって変わり、そのモンスターの属性も変わる。そしてソウルストーンには回復効果があるから味方モンスターがピンチになったら戻して回復させれるよ」
ジンはそう語ると、美しい輝きを放つ石を取り出した。
「これがソウルストーンだ。モンスターを見つけたら、これを使ってみるんだよ」
2人はソウルストーンを手に取り、不思議な力を感じた。
「ちなみに他の人のソウルストーンを奪っても召喚したり仲間にすることはできないからそこは注意してね。」
ジンの説明によると大体のモンスターは少なくとも2コストはありモンスタートレーナーは最初、基本12コストを持っているらしい。
ジンはタクミとソラを自分の家に招いた。そこは小さいながらも、どこか温かみのある佇まいだった。
「少し休んでいきなよ。君達はこれから、大変なことになるかもしれないからね」
ジンの言葉に、タクミは戸惑いを隠せなかった。しかしその一方で、未知の世界への興味が抑えられなかった