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どうして

家に着き玄関の扉を開き中に入る。すると見慣れた靴が玄関にあった。


花梨さんの方が早くに帰ってきてたのか。


僕はそんなことを思いながら靴を脱ぐ。そして自分の部屋に戻ろうとすると目の前に花梨さんが立っていた。


「…」


花梨さんは僕の方を無言で見つめている。それやめてくれないかな?めっちゃ怖いんだけど…


「えっとぉ…おかえりなさい?」


何も言わずに部屋に向かってしまうのも悪い気がしたのでとりあえずそう言ってみる。


「…ただいま」


ねぇ!これ正解なの?!合ってるの?!


もうさっさと部屋に戻ろう。花梨さんも僕と長くは話したくないはずだ。


軽く会釈をしながらそそくさと部屋に戻ろうとすると


「ね、ねぇ…」


声をかけられた。


「なんでしょう?」


え、怖い怖い。ジリジリとにじり寄って来ないで。


「…」


再び花梨さんは僕の顔をじっと見つめる。何をしてるんだろう?


うーん。はっ!もしや!この家に入るためには一定以上のイケメン度が必要なのか?!残念だけど僕はフツメンだ。志那さんと花梨さんは超美人なんだけどなぁ。もしかして僕って志那さんから産まれてない?なら納得だね!


…まだ花梨さんが僕の前で無言で立っている。


「あのー、僕の顔に何か付いてますか?」


「ち、違うわよ!」


ひえー…至近距離で叫ばないで…ちっさな僕の心臓は直ぐに萎縮しちゃうんだから。


「えっと、じゃあ僕はもう戻りますね」


そう言って今度こそ階段を上り始める。


「…おかえり」


一体なんだったんだろう?


僕が部屋で課題をしていると部屋の扉がノックされた。うん?誰だろう?と言ってもこの家に今いるのは僕が花梨さんだけなんだから空き巣とかじゃなかったら花梨さんだよね。おかしいな?憎まれているはずの花梨さんが僕を訪ねてくるなんて。…え?空き巣?


僕は近くにあったテッシュ箱を持ち慎重に扉へと近づいた。テッシュ箱を持った手を振り上げる。そして一気に扉を開け放った!


「おらぁ!!おんどりゃあ何しとんねん!!」


精一杯の威嚇をしながら素早く標的を目視する。


「は?あんたなにやってんの?」


目の前には不機嫌そうな顔をしている花梨様が立っていた。よく考えたら空き巣がノックなんてするはずないもんね。


「いやほんとすんません」


僕はそれはもう綺麗な土下座をかました。


「え、いや、うん」


それから僕は立ち上がって疑問をぶつけた。


「それでなんの用ですか?」


「…ねぇ、叶人。私があんたを嫌ってるっていうの、あれ勘違いだから」


また気を使われている…昨日からよく気を使われるな。


「別に僕に気を使う必要は…」


「使ってないから」


いい切る前に被されてしまった。どうしてそこまで僕に気を使うのだろう?


「どうして僕にそこまで気を使うんですか?」


「だから使って…」


「ならどうして」


今度は僕が被せて話す。


「友達に僕が憎いなんて言っていたんですか?」


「ぁ…」


そう。僕は聞いてしまった。僕が中学生に入ってからかなり経った頃、花梨さんが家に友達を連れてきていた。僕は邪魔しないようにと思い自分の部屋に入ろうとした。でも花梨さんの部屋の扉の隙間から僕の名前が聞こえてきた。


「私は叶人が憎いの」


それを聞いた僕はその場から直ぐに離れた。そしてその時初めて知った。花梨さんに嫌われているのだと。


「そ、それは理由があって!」


「理由があるのは当たり前ですよね?きっと僕が花梨さんに何かをしてしまったんですよね」


「っ!ち、違う!」


花梨さんはそう言う。けど


「違いませんよ」


僕はそう言いきった。


小さい頃の僕と花梨さんはとても仲が良かった。近所のおばさんには小さなカップルだとからかわれるくらいに。


そんなに仲が良かったのに憎まれるようになるには何か原因があるんだろう。


そしてそれを花梨さんは気にしている。なら僕がかける言葉は一つだけだ。


「花梨さん。気にしないでください!僕は花梨さんに嫌われてもなんとも思っていないので!」


そう言うと花梨さんはポタポタと涙を零した。


「う、うぅぅぅうぅぅぅうう!!」


そして唸りながら志那さんと同じように膝を着いてしまった。どうしたんだろう?僕が気にしてないと分かってそんなに嬉しかったのかな?


それにしても嬉しがり方も同じなんて、ほんとによく似てる親子だよね!

花梨は何を思ってあんな発言をしたのでしょうか…

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